昨年11月に沖縄本島南部で70代の母をはさみで刺し殺害したとして、殺人罪に問われた40代女の被告の裁判員裁判の判決公判が13日、那覇地裁であり、佐藤哲郎裁判長は懲役9年(求刑懲役12年)を言い渡した。

 佐藤裁判長は、自殺を決意した被告がわだかまりのあった母を道連れにしようと、はさみで執拗(しつよう)に首などを刺した犯行態様を重視。「強い殺意に基づく危険な行為」と指摘した。

 一方、被告が長年の精神疾患で働くこともままならず、自殺を考えるなど追い詰められた生活状況を酌み、量刑を判断したと説明した。

 その後、佐藤裁判長は「お母さんのあなたに対する本当の思いはどういうものだったのか、振り返る時間は十分ある。社会復帰したときは自分の人生をしっかり歩んでほしい」と語りかけた。

 公判では被告と被害者の氏名が伏せられた。刑事訴訟法では、被害者や親族の社会生活を保障する観点から、裁判所が被害者の特定につながる事柄を法廷で伏せることができると定めている。弁護人によると今回、遺族側の申し出を受けて那覇地裁が決定した。

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