建設中の大阪・関西万博会場=大阪市此花区の夢洲で2024年8月14日、本社ヘリから

 2025年大阪・関西万博を運営する日本国際博覧会協会は13日、大阪市内で理事会を開き、会場の人工島・夢洲(ゆめしま)(此花区)で発生したメタンガス爆発事故を受けた対策費や、海外パビリオンのタイプ変更に伴う改修費など、合わせて90億円規模の追加費用の計上を決めた。協会は、一部を不測の事態に備えた予備費(130億円)から支出する可能性に言及。2度の増額を経て最大2350億円に膨らんだ会場建設費の枠内には収まるとの見通しを示した。

 メタンガス爆発事故は3月28日、パビリオンが建ち並ぶエリアに隣接する工区で、トイレの建設工事中に起きた。夢洲の一部は廃棄物の最終処分場となっている。事故原因は、廃棄物から発生して地下にたまった可燃性メタンガスに、溶接の火花が引火したとみられる。協会は再発防止のため、事故が起きた工区に建てる建物のうち、屋根のない施設以外に換気設備を設置する。会場建設費に整備費32億円を計上。ガス濃度を毎日測定し、ホームページで公表するための費用など4億円を別途、運営費から支出する。

 海外パビリオンに関する追加費用は計52億~62億円。協会は参加国が自前で建設する「タイプA」の遅れに伴い、建設を代行する簡易型の「タイプX」25棟を先行発注した。しかしAからの移行が進まず、16棟分をキャンセル。キャンセル費などで4億円が必要となった。

 協会によると、AからXへ移行したのは13日時点で5カ国。残る4棟のうち2棟を共同入居型の「タイプC」に改修、2棟を休憩所などに転用する費用として、28億円を計上した。さらに、Aから撤退し、空き地となった区画に人工芝を敷き休憩所を整備する費用として、20億~30億円を盛り込んだ。

 追加費用はメタンガス対策と合わせて90億円規模となったが、協会の十倉雅和会長は理事会後の記者会見で、「会場建設費、運営費とも増額の必要はない。予備費を使えば十分やっていける自信がある」と述べた。予備費は災害や人件費・資材費の上昇に備えて確保。資材費の上昇率を13・4%と予測していたが、実績は3・4%にとどまる見込みで、余裕が生じると説明した。

 協会副会長を務める大阪府の吉村洋文知事は13日、報道陣に「メタンガス対策は、安全に安全を重ねるという意味で重要だ。Xの転用も必要で、最大2350億円に収まるということなので賛成した」と述べた。【東久保逸夫、鈴木拓也】

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