北海道旭川市は13日、市立中学校で2021年にいじめを受けていた広瀬爽彩(さあや)さん(当時14歳、中学2年)が自殺した問題に関し、市が設置した再調査委員会の調査報告書の公表版を公開した。「いじめが存在しなければ自殺は起こらなかった」と結論付けた。報告書は市のホームページで閲覧できる。
公表版は全367ページで、再調査委が今月1日に答申した報告書が基になっている。文部科学省のガイドラインに沿って、個人情報やプライバシーなどに関する部分を除いた形で、市が再構成した。
ただし、できる限り真相を明かし、事実と異なる臆測や中傷がSNS(ネット交流サービス)などで相次いだ事態に終止符を打ちたいという遺族の意向を踏まえた。このため、広瀬さんの発達特性や「怖」「悪」「いじめ」「死」といった言葉が多用されたSNSへの投稿内容を記述した。広瀬さんの動作をまねて笑うなどした当時のクラス内の行為を含めて7件のいじめがあったなどとし、具体的な内容も記載した。
今津寛介市長は13日にあった市議会での報告の中で、公表版の内容に対する爽彩さんの遺族の思いが込められたコメントを読み上げた。遺族は爽彩さんの個人情報も公開に踏み切った理由について、「臆測、根拠のない断定、誹謗(ひぼう)中傷が関係者にとどまらず一般市民にも及んでいたため」と胸中を明かした。また、「個人情報を含む公表を当たり前にしないでほしい。いじめはどこの地域でも起こることだと感じていただきたい」などと訴えた。【横田信行】
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