9月16日の「敬老の日」に合わせ、大正大(東京都豊島区)が13~16日の4日間、「おばあちゃんの原宿」と言われる東京・巣鴨の商店街で学生が運営するカフェを開く。テーマは「人生120年時代、老いを楽しめない国なんて、つまらない! 死ぬほど笑おう!」。店名も「巣鴨笑店街カフェ」とし、落語など笑いをテーマにしたイベントが目白押しだ。
きっかけは大学で社会福祉を学ぶ学生が昨年、巣鴨・地蔵通り商店街を歩く60~90代の計100人に「敬老の日はあなたにとって楽しみなイベントですか」と聞いたことだった。
結果は衝撃的だった。38人が「全く楽しみではない」、33人が「楽しみではない」とし、全体の7割が否定的な回答だった。「どちらともいえない」も19人おり、「とても楽しみ」「楽しみ」という前向きな答えは10人だけだった。
なぜ、楽しみではないのか。理由は深刻だった。「ひとりぼっちでさみしい」「誰も何もしてくれない」――。「年寄り扱いされたくない」という高齢者もいた。社会との深刻な断絶が明らかになった。
「年齢を重ねても元気でいるためには、笑うこと、声を出して話すことが大切。人と交流する機会が減っていく高齢者にとって、『最近、笑っていないなあ』と思うことがあるのではないか」。大正大人間学部の宮崎牧子教授(高齢者福祉論)が中心となり、学生とともに昨年の敬老の日に合わせて「巣鴨笑店街カフェ」を企画。大勢の高齢者でにぎわった。
今年も学生約20人が店員となり、人工知能(AI)を使って若かりし頃の表情を写し出すカメラアプリや、落語家の立川志ららさん、立川志の彦さんによる「老いを笑い合う」と題した高座(各日午後2時から、先着順)などを用意した。
「学生たちと交流し、笑いあって楽しいひとときを過ごし、生活に笑顔を取り戻すきっかけになればうれしい」と宮崎教授。カフェは豊島区巣鴨3の丸吉ビル1階「ガモール志学亭」内。営業は午前10時~午後5時。入場無料だが、カフェで1人1品以上の注文が必要。【山下貴史】
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