動物園の展示スペース壁面に桜やベニバナを描く河北中美術部の生徒たち=山形県河北町で2024年9月7日、竹内幹撮影
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 山形県で唯一の動物園で今年、展示スペースの壁面に地元の中学生が絵を描く取り組みが進んでいる。老朽化した園内に彩りを添え、活気をもたらそうと、年内の完成を目指して絵筆を執る。

 県中央部、河北町の役場に隣接する町児童動物園。年中無休・無料で24時間入園できる小さな動物園だ。1953年に開園し、現在はポニーやウサギ、フクロウなど約30種を飼育。地域の人たちに親しまれている。

町役場庁舎(左奥)に隣接した河北町児童動物園=山形県河北町で2024年9月8日、竹内幹撮影
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 しかしコンクリートの壁や鉄の柵で囲まれた園内は、どこか暗く寂しい印象を受ける。同園は動物や来園者が明るい気持ちになれるよう、展示スペースに絵を描く企画を発案。地元の河北中美術部の有志11人が賛同し、6月から週2回のペースで制作を始めた。

 「来園者に町の魅力を知ってもらいたい。絵を見るだけで町内を一周しているような気持ちになってほしい」と話すのは部員の一人で同校3年、阿部吏桜(りお)さん(15)。飼育員の手を借りながら、桜やベニバナ、町内の公園に動態保存される蒸気機関車「いもこ列車」など、四季折々の名所や特産物を描いた。

 同じく3年の田宮佳歩(かほ)さん(15)にとっては幼い頃、祖父と一緒に来たという思い出の場所だ。「絵を描くことで地域に貢献したかった。これからも動物園を楽しんでほしい」と願い、制作に励んでいる。【竹内幹】

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