大阪地裁=大阪市北区で、曽根田和久撮影

 奈良県御所(ごせ)市発注の火葬場新設工事を巡り、特定の業者が受注できるよう便宜を図った見返りに現金7500万円を受け取ったとして、加重収賄罪に問われた元市議の小松久展(ひさのぶ)被告(71)の初公判が23日、大阪地裁であった。小松被告は「金を借りただけで、賄賂ではない」と起訴内容を否認した。

 弁護側は「関係者の供述は仕立て上げられたものだ」と主張。違法な捜査だったとして裁判を打ち切る「公訴棄却」を求めた。

 起訴状によると、小松被告は市議だった2020年7月、火葬場工事を巡る業者間の受注調整を認識しながら、建設会社「ゴセケン」(御所市)を代表とする計3社の企業グループを選定する議案に市議会で賛成。21年に同社の元会長と元社長の2人から計7500万円を謝礼として受け取ったとされる。

 検察側は冒頭陳述で、小松被告が19年4月、企業グループが受注できるよう調整し、発注方式や参加要件について有利になるよう市に働きかけたと指摘。小松被告から「親族に金が必要だから貸してほしい」と会社側に持ちかけ、現金を受け取ったと述べた。返済期限や方法の話し合いはなかったという。

 贈賄罪で在宅起訴された同社側の2人は別に開かれた公判で起訴内容を認め、執行猶予付きの有罪判決が確定している。【高良駿輔】

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