耐用年数を迎える太陽光パネルが今後、大量に発生することを踏まえ、環境省と経済産業省はパネルのリサイクルの義務化に向けた議論を本格化させる。13日に有識者検討会の初会合を開いてリサイクルの制度案を協議し、来年の通常国会に義務化を盛り込んだ新法案の提出を目指す。
太陽光パネルの耐用年数は20~30年とされる。国内では2012年の再生可能エネルギーの固定価格買い取り制度(FIT)開始以降、太陽光パネル設置が急速に進んだことから、今後廃棄量が急増する。
環境省によると、廃棄量は30年代半ばには年50万トンに上り、既に法律でリサイクルが義務化されている自動車や、テレビなど家電4品目の廃棄量と同程度になると予測される。現在は太陽光パネルの大半が埋め立て処分されている。
一方、太陽光パネルのリサイクル技術開発は進みつつあり、一部では再利用されている。パネルの重さの約6割を占めるガラスは断熱材や道路の路盤材などに活用され、銅や銀も回収している。
環境省によると、リサイクルを義務付けることで、最終処分場の受け入れ容量圧迫を避けると同時に、資源の有効利用を進める狙いがある。海外では欧州連合(EU)が既に義務化しているほか、米国は州単位で規制が導入されている。
13日に始まる有識者検討会では、義務付けの対象範囲や、リサイクルの費用を誰が負担するのかといったことについて議論する。リサイクルしなかったり、使用済みパネルを放置したりした太陽光発電事業者への罰則も検討する。リサイクルに対応できる施設を拡大するための支援策などについても議論する。【山口智】
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