金山総合駅でエスカレーターの適正利用を呼びかける名古屋市の河村たかし市長=名古屋市中区で2024年9月11日午前8時47分、真貝恒平撮影

 名古屋市は、エスカレーター利用に関する実態調査の結果を発表した。市は2023年10月、転倒事故などを防ぐため、エスカレーターに立ち止まって乗ることを義務づけた全国で2例目となる条例を施行し、間もなく1年となる。

 同市では条例施行前から、エスカレーターの利用者は左側に立ち止まって右側を空け、急ぐ人が右側を歩くのが「暗黙のルール」となっている。条例に罰則規定はなく、条例施行後もそうした暗黙のルールは一部の利用者の間で続いている。

 調査は6~7月に交通機関や商業施設など10カ所で実施。「立ち止まって利用」、「歩いて利用」「走って利用」などの人数を計測したところ、歩いたり走ったりして利用している割合は前回調査(23年11~12月)の7・3%から0・6ポイント減の6・7%だった。さらに、右側に立ち止まって利用する割合は同15・8%から8・1ポイント増の23・9%だった。

 河村たかし市長は9日の定例記者会見で、自らの経験を交えて「右側は(急ぐ人のために)空けとかないかんと思っとったが、意識は変わってきた」と条例施行後の1年を振り返った。

 一方、エスカレーターやその周辺での事故件数は19年度が161件、23年度(今年1月末まで)は159件と変化が見られないのが現状だ。市は今後、エスカレーターに起因する事故の件数に限定して調査するなど、条例の効力について検証する。【真貝恒平】

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