「文化と知」の創造拠点の予定地となっている県体育館跡=2024年9月2日午前10時38分、宇都宮市中戸祭1、有田浩子撮影

 栃木県立の美術館、図書館、文書館を一体的に整備する「文化と知」創造拠点について、県は10日、有識者の検討委員会に整備構想案を示した。パブリックコメントをへて、年内にも策定される。

 美術館、図書館はいずれも築50年以上と老朽化が進み、駐車場スペースも不足している。文書館も含め3館とも収蔵庫は不足しており、デジタル技術への対応などを迫られてきた。文化振興の中核となるよう、2023年8月から基本理念や機能・役割など検討委員会で議論を重ね、学生や県民向けのワークショップも開いてきた。

 宇都宮市中戸祭の県体育館跡地の3・4ヘクタールに整備を予定している。高速道のインターチェンジにも近く県内各地からのアクセス性に優れていることと、まとまった県有地はほかにないことから選定された。

 ただ、次世代型路面電車(LRT)の西側延伸の沿線沿いからは1・2キロほど北に位置しており、公共交通を利用する場合はバスしかないなど、利便性が課題になっている。

予定地

 延べ床面積は、これまでの2倍を超える約3万6000平方メートルとした。美術館のコア部分は約1万1500平方メートル(現状7907平方メートル)、図書館は約1万4000平方メートル(同6458平方メートル)、文書館は約2500平方メートル(同1952平方メートル)とし、共用部分を約8000平方メートルとしている。

 各施設とも展示や収蔵など十分なスペースを確保するとともに、共用部分には、史料などの電子化に伴う撮影室、美術図書館の設置などのほか講堂や学習室、多目的室、レストラン、カフェ、キッズルームなどを想定している。

 コンセプトを「文化と知」を「開く・つなぐ・育む」拠点とし、それに沿った整備を進めることとした。設備やサービスの共有化・共通化による効率性の向上に加え、3施設の連携や、利用者どうしの交流促進などによる相乗効果を目指す。収蔵資料の横断的な検索システムの構築なども目指す。

 県は民間の資金や技術力を活用するPFIなど整備手法について検討し、来年度以降、計画の策定を始める。開館までには7~10年程度かかるという。

 委員からは「気軽に訪れる魅力的な拠点が望まれている」「集客力が大事」などのほか、「ミニシアターや書店など文化発信の拠点に」といった意見が出され、早期の完成を望む声も相次いだ。【有田浩子】

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