兵庫県の斎藤元彦知事がパワーハラスメントなどの疑惑を文書で告発された問題で、県議会(定数86)第2会派・維新の会県議団(21人)は9日、知事に辞職と出直し選を求める文書を服部洋平副知事に手渡した。これを受けて、斎藤知事は辞めないといけなくなるのか。
斎藤知事への辞職要求を巡っては、最大会派の自民県議団が12日に辞職要求することを決めている。今回の維新の会の方針を受けて、全会派が同調することになった。
ただ、知事が受け入れないと辞職は強制されない。
それでも、県議が辞職を求めるのであれば別の方法がある。議会が開会すれば、県議は辞職勧告決議案や不信任決議案を提案することができる。
辞職勧告決議案は賛成多数で可決されても法的拘束力はない。このため、辞職は強制されない。
一方、不信任決議案は地方自治法178条に定められている。可決には、議員の3分の2以上が出席し、そのうち4分の3以上の賛成が必要となる。
兵庫県議会の場合、定数86人なので、可決には少なくとも58人が出席しなければならない。仮に、全員が出席すれば65人以上の賛成が必要となる。
可決された不信任決議には、法的な拘束力があるので知事は従わなければならない。
ただし、不信任の通知を受けた知事は、10日以内に議会を解散することができる。解散しなければ失職する。
知事が議会を解散した場合、40日以内に県議の選挙が実施される。その後の新たな議会で再び不信任案が提出されると、ここでも議員の3分の2以上が出席しないと採決ができない。
ただ、ここでは出席数の条件が満たされて過半数の賛成があれば、可決となる。そうなると知事は失職する。
これまでに、県議会で不信任案が可決された例は4件ある。岐阜県(1976年)と長野県(2002年)、徳島県(03年)、宮崎県(06年)だ。
不信任案の可決後にどうなったかというと、2県では知事が辞職し、他の2県の知事は失職した。長野県では、不信任案が可決され失職した田中康夫知事(当時)が、その後の知事選に立候補して当選している。
総務省の担当者は「知事が議会の解散を選んだ例は、把握している範囲ではない」と話す。【大坪菜々美】
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