判決を前に思いを語る岩永千代子原告団長(右)と原告の山内武さん=長崎市筑後町で2024年9月8日午後2時38分、尾形有菜撮影

 国が指定した援護区域外で長崎原爆に遭った被爆体験者が長崎県と長崎市に被爆者健康手帳の交付などを求めた訴訟の判決が9日、長崎地裁で言い渡される。原告ら約60人が8日、長崎市で集会を開き、2007年から17年続く裁判闘争を振り返りながら「これが最後の闘い。勝訴して国側に『被爆体験者は被爆者だ』と認めさせ、問題に終止符を打ちたい」と訴えた。

 原告の山内武さん(81)=長崎県諫早市=は「仲間はどんどん亡くなり、高齢化が進んで自分の体もままならない。国が私たちを『原爆放射線の影響を受けていない』として被爆者と認めず、『被爆体験者』と名付けたのは腹立たしい。(闘いは)明日で最後にしたい」と話した。

 原告が原爆投下後に降り注いだ放射性微粒子による健康被害の可能性が否定できないと訴えていることについて、岩永千代子原告団長(88)=長崎市=は「放射性微粒子は呼吸や飲食で知らないうちに私たちの体の中に入り病気を引き起こす。私たちはどこまでも真実を求める」と語気を強めた。

 また、広島原爆の投下後に降った「黒い雨」体験者を国が被爆者と認めながら長崎の被爆体験者を救済から除外していることについて、西岡秀子衆院議員(長崎1区)は「長崎と広島で異なる基準で(被爆者の)認定がされていることは国家として大きな問題。判決が必ず解決に結びつくよう、国政の場でしっかり取り組む」と話した。【尾形有菜、樋口岳大】

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