スーパーの売り場から一時、米がなくなり「令和の米騒動」と言われている。では、過去に起きた米騒動はどんな出来事で、歴史から何を学べるのか。Q&Aでまとめた。【井出礼子】
Q 過去にも米騒動があった?
A 一番よく知られるのは1918(大正7)年に起きた米騒動です。米の価格上昇を知った米作地主や商人が売り惜しみや買い占めを行い、現在は行われていない米の投機が行われたことが重なってさらに高騰しました。一般庶民は生活の苦しさから、全国各地で米商店などを襲撃しました。
Q 暴動は激しいものだった?
A 富山県・魚津の女性たちの騒動に端を発し、都市部から農村や炭鉱に広がり、1カ月以上も続きました。警察だけでなく軍隊が制圧に乗り出すほどでした。
政府が対策資金を出して米の安売りを行ったり、買い占めや売り惜しみを禁止したりしても、米価はなかなか下がりませんでした。寺内正毅内閣は退陣を余儀なくされました。
Q なぜ価格高騰が起き、暴動にまで発展したのですか。
A 当時、農村から都市部への人口流入で米の生産量が伸び悩んだことで供給量が減っていました。そこに第一次世界大戦のシベリア出兵で需要が高まると見越し、買い占めが起きました。
また騒動の背景として、貧富の差が広がっていたことがあります。当時は好景気でしたが、一般庶民は生活苦にあえいでいました。このため、資本家や商社にも矛先は向けられ、焼き討ちに遭うなどしました。社会の矛盾が空前の出来事として現れたと言えそうです。
Q 「令和の米騒動」の原因は何ですか?
A 減反政策で生産が抑えられる一方で、小麦製品の値上がりやインバウンドの拡大で、米の消費が増えたことが挙げられます。スーパーの棚から突然、米がなくなることで不安が高まり、政府は必要な量だけ購入するよう呼び掛ける事態になりました。
新米が本格的に出回りましたが、価格は去年より高い状態です。農家にとっては適正価格になったとも言えますが、相次ぐ食料品の値上がりに庶民の生活は苦しくなるばかりです。安心して暮らすための対策は今後も必要です。
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