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 人知れず消えていく貴重な物に巡り合えることが、骨董(こっとう)市の魅力です。お宝を求めて外国人が集結。その関心の高さは、今や日本人を上回るほどです。

■貴重なフィルム「少年リンカーン」

骨董アンティークフェア この記事の写真

 さいたま市で6月11日に開催された骨董アンティークフェアでは、日本の古民具、西洋の甲冑(かっちゅう)など、あらゆるものが集まります。

ヤニックさんが探す古いカメラ

 ドイツから来た留学生のヤニックさん(24)は、古いカメラを探していました。

ヤニックさん
「これは別の骨董市で1000円で手に入れました。壊れて使えなかったけど、分解して自分で直した」

 壊れたカメラを安く購入し、修理しているというヤニックさん。時には、珍品に巡り会うこともあります。

ヤニックさん
「これはとてもレアなカメラで、シリアルナンバーがない」

 さぞかしお高いかと思ったら、300円でした。

江戸時代に使われていたという道具

 その人にとってのお宝に出会える、これぞ骨董市ならではの楽しさです。140店以上が参加した骨董市。一見すると分からない、不思議な骨董もいっぱいです。

店主
「これ、分かる?」

 江戸時代に使われていたという道具。一部が鉄でできているのがポイントです。時代劇で一度は見たことがあるはず。

店主
「火打石の打金。黒曜石とかを使って、ここで火花を飛ばして火を起こした。時代劇でよく見る」

 よく見ると、ポケットがあります。実は、火を起こす時に燃やす綿を入れていたそうです。

リンカーンの物語を映すフィルム

 カメラのようにも見える戦前の道具は、電球を入れて使います。何だと思いますか?

店主
「これは、昔の幻灯機。映写機です、昔の。手でこうやって回して、映像を送っていく」

 レンズの横にある筒状の棒にフィルムを巻き、手で動かしながら使う映写機だといいます。貴重なフィルムも残っていました。

店主
「(16代アメリカ大統領)リンカーンの物語。学校で使っていたのかも」

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■父親の影響で骨董に目覚める

■父親の影響で骨董に目覚める

柿渋染めの道具

 横浜で開催された横浜骨董ワールドにも、謎の骨董がありました。逗子から夫とやってきたウエストバーグ・リサさん(40代)を取材しました。

リサさん
「他で見たことがないモノ。何に使われていたか気になる」

 戦前に使われていたという謎の道具は、ほぼ木製ですが、一部にガラスが使われていました。これは一体?

店主
「渋柿をここに入れる。潰して汁が出る。それを着物などの染料に使う」

 これは昔から伝わる柿渋染めの染料を絞り出す道具です。ガラス部分は、雑菌や臭いが付かないようにするためだといいます。

リサさん
「こういう器具は気になる。珍しいけど、置くところがない」 父の影響

 リサさんが骨董に興味を持ったのは、父親のホーガンさん(76)の影響です。

ホーガンさん
「伝統的な形が好き。いくらですか?」 店主
「1000円です」 ホーガンさん
「いただきます」

 ホーガンさんファミリーの骨董ライフを拝見しました。

ホーガンさんファミリーの骨董ライフ

 家の中には、骨董市で買った物がいっぱい。和室に和ダンスがあるかと思えば、中国製の金色に輝く像が鎮座しています。ベランダには、メキシコの伝統的な模様の植木鉢が置かれていました。

リサさん
「いろんな国の文化が(感じられる)ものとか、すごく気になるので飾りたい」

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■筋金入りのニッポン愛!貴重なコレクション 

■筋金入りのニッポン愛!貴重なコレクション 

半頬

 古都・京都で驚くべき行列ができました。その人数は300人以上です。

 京都アンティークフェアは、西日本最大級の規模を誇る骨董イベント。全国各地から300以上の業者が集合し、貴重な骨董品が所狭しと並びました。

スペインから
「すてきな絵が描かれている」

 この会場にも、多くの外国人の姿がありました。カナダから観光で来たピーターさん(59)は、前から欲しかったという“お宝”を購入できたと喜んでいました。

ピーターさん
「“半頬(はんぼお)”と呼ばれるサムライの道具」

 半頬とは、両ほほとアゴを覆う防御具です。

ピーターさん
「(Q.いくら?)5万円」
「(Q.高くない?)いいや、全然高くない。とにかく日本の歴史が好き」 貴重なコレクション

 その“ニッポン愛”は筋金入り。カナダの自宅には、貴重なコレクションがそろっています。

ピーターさん
「これは桃山時代の兜(かぶと)。これは関ケ原の戦いの頃に使われていた甲冑(かっちゅう)を入れる箱」 従軍記章

 骨董をきっかけに日本の歴史を学んだというピーターさんが手にしたのは、大正時代の従軍記章(じゅうぐんきしょう)です。

ピーターさん
「このメダルが気に入った」

 これは、軍人だけではなく、後方支援をした一般人にも贈られました。

ピーターさん
「日本のメダルも収集している」

 気になる販売価格は、一つ4000円だといいます。

ピーターさん
「10個全部買うから、1万5000円にしてくれませんか。状態があまり良くないから、安くしてほしい」

 ディスカウントが成立しました。骨董市に来るたびに、ピーターさんは値切り上手になっているのかもしれません。

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■骨董市で見つけた着物をリメイク

■骨董市で見つけた着物をリメイク

アンドレアさん

 会場で着物を熱心に見る、気になる女性を発見しました。日本に住んで5年になるハンガリー出身のアンドレアさんです。

アンドレアさん(20代)
「(着物は)普段着。午後、出社する。この格好」
「(Q.会社も着物で?)社長とのミーティングもこれで」 手作りのリメイク着物

 IT関連の会社に勤めるアンドレアさんは、常に着物を着ているといいます。着物のジャケットは、何ともオシャレじゃありませんか。実はアンドレアさんは、骨董市で安い着物を購入して自分でリメイクしています。

アンドレアさん
「(Q.自分でつけた?)そう」
「(Q.売り物じゃない?)買う人がいたら売るけど、おらへん」

 刺しゅうもアンドレアさん自ら施しています。母国・ハンガリー伝統のデザインです。来日前はおとなしめな服装でしたが、着物と出会って個性が爆発。リメイクした着物は、実に150着を数えます。

アンドレアさん
「いや、楽しい。こういう話できる仲間って、あんまおらんねんな」

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■日本の骨董市 外国人を魅了する理由

■日本の骨董市 外国人を魅了する理由

クリスティーズで勤務

 骨董市で、すごい人に出会いました。アメリカからやってきたクリスさん(48)です。

クリスさん
「クリスティーズオークション会社で10年間働いていた」 大田垣蓮月

 世界で最も長い歴史を誇る美術品オークションハウスのクリスティーズで働いていたというクリスさん。世界の骨董品を見てきたクリスさんが、この会場で購入したものは…。

クリスさん
「そんなに大したものじゃ。江戸時代の短冊ですけど、やっぱり“蓮月”の作品が好き。女のお坊さん。いくつも持っている」

 江戸時代に活躍した大田垣蓮月という女流歌人の和歌が書かれていました。

クリスさん
「(Q.いくらだった?)3万円でした」 アメリカの自宅にあるコレクション

 アメリカの自宅には、すごいコレクションがあります。徳川家の家紋がついた銀の皿や、安土桃山時代に使われていたお菓子をのせる皿。それぞれ数百万円だそうです。

お気に入りの水差し

 そして、クリスさんが最も気に入っている骨董があるといいます。それが江戸時代の水差しで、傷がポイントです。

クリスさん
「中国の陶磁器は、作る時に失敗して、形が変なら大体捨てる。日本はそれを大事にする。日本の美術はやっぱりおもしろい。“わび”というものは、日本だけ」

 日本の骨董市には、外国人を引きつけてやまない魅力があふれているようです。

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