兵庫県の斎藤元彦知事は6日、職員へのパワーハラスメントを含む多数の疑惑を文書で告発された問題を巡り、県議会調査特別委員会(百条委)の証人尋問に臨んだ。告発者の元県西播磨県民局長(7月に死亡)を懲戒処分とした対応について、「手続きに瑕疵(かし)はなかった」と改めて主張した。
知事の尋問は8月30日に続いて2回目。この日は主に告発文に対する県の対応や元局長の処分の経緯について検証が進められた。
尋問で、知事は告発文の存在を把握した翌日の3月21日に片山安孝副知事(7月に辞職)らを集めて、調査を指示したと認めた。「内容を見て問題があると認識し、しっかり調査するようにと指示した。誰が作成したのか、なぜ作成したのか意図を把握することが大事だと指示した」と説明した。
一方で告発文を公益通報として扱わなかったことについては、「文書に具体的な供述や信用性の高い証拠が書かれてない。元局長が調査に対し、うわさ話を集めたと話したと聞き、外部公益通報に当たらないと判断した」と主張した。
告発直後に文書の作成者の特定に動いた県の対応については、百条委に出席した専門家から法令違反との指摘が相次いでいる。
知事は「告発というよりも誹謗(ひぼう)中傷性の高い文書を作成したと思った。その作成者をしっかり捜すというのは必要なことで問題はない」との認識を示した。
また告発後の3月末に当時の総務部長から第三者機関の設置を進言されたという証言は「記憶はない」と否定。「懲戒の可能性を含めて人事課で調査することが大事という話になったと記憶している」と説明した。8月23日の百条委で、懲戒処分の経緯を知る職員が「人事当局は当初、公益通報としての調査結果が出るまでは処分できないのではないかと当時の総務部長を通じて進言し、知事も了承した」と証言したことについては、「具体的に提案を受けた記憶はない」とした。
一連の問題は元局長が3月、知事のパワハラを含む七つの疑惑を告発する文書を報道機関や県議に配布したことで発覚した。
元局長は県の公益通報窓口にも通報したが、県は通報者への不利益な扱いを禁じた公益通報者保護法の対象外と判断。内部調査を進めた結果、「核心部分が事実ではなく、誹謗中傷に当たる」と断じ、元局長を停職3カ月の懲戒処分にした。
元局長は7月、県内の親族宅で亡くなっているのが見つかった。処分に踏み切った県の対応に問題がなかったか百条委が調査している。【中田敦子、大坪菜々美】
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