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兵庫県・斎藤知事に関する“告発文書”は公益通報にあたるのか否か。5日の百条委員会で内部調査がされることになった経緯が明らかになりました。

■告発文書の“公正な調査”を検討した時期も

公正な調査を検討した時期もあったといいます。完全非公開で行われた証人尋問での証言です。

県職員の証言(5日)
「弁護士に相談したところ、第三者委員会は時間と経費が非常にかかるということでした。それをそのまま知事側近に伝え、知事にも伝わったと理解しています。“時間も金もかかるんだったら内部調査をしろ”という結論に至りました」

処分を急いだ結果、公益通報者を守ることができなかった兵庫県。参考人として出席した公益通報の専門家の評価は…。

上智大学 奥山俊宏教授
「結果的に告発文書には公的に保護されるべき“公益通報”が含まれているということが、いまや明らかになってきていると思われますので、知事らの振る舞いは“公益通報者保護法”に違反する」

そもそも公益通報とは、組織の不正行為を内部の通報窓口や、権限がある行政機関・報道機関などに通報すること。公益通報者の不利益な扱いは法律で禁止されています。

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■“スケジュールありき”の処分か

■“スケジュールありき”の処分か

斎藤知事の側近が証言したのは、知事が告発文書を把握した翌日の幹部協議について。公益通報者保護法の指針では、県には告発者捜しの防止などの体制整備が義務付けられているのですが…。

兵庫県産業労働部 原田剛治部長
「その時はメールを調べることになった。(Q.知事からの指示?)そこは覚えていない。(Q.本当に覚えていない?)はい。(文書の作成者を探そうとなった?)そうです。(Q.誰からの指示?)知事から。知事からというか、結局全体を調査しよう。(Q.ちゃんと答えてください。知事からの指示?)トータルとしてはそう」

県はすぐさま西播磨県民局元局長を特定し、役職を解きました。この時「嘘八百は公務員失格」と非難した知事の会見についても専門家はこう話します。

上智大学 奥山俊宏教授
「感情に駆られて、県の行政府のトップである権力者が、公の場で部下の一個人に対して公開ハラスメントに及ぶということは許されない」

一連の対応に不信感を抱き、公益通報者としての保護を求めた元局長。人事当局は「調査結果を待たないと処分はできないのでは」と知事側に進言するなど慎重な立場でした。しかし知事は…。

兵庫県 斎藤元彦知事(県職員の証言)
「調査結果を待たずに処分できないのか」

処分はスケジュールありきだったと県職員は証言します。

県職員の証言(5日)
「当初、知事の指示として処分日を『4月24日にできないか?』ときた。『とても無理です』と最短で5月17日を示したところ『遅いので5月10日の案を作れ』と。すると再び『知事の指示や』ということで、5月7日に処分日が決定した経緯があります」

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■問われる“公益通報”の判断

■問われる“公益通報”の判断

こうしたなか、人事当局が相談したのが、県の特別弁護士を務める藤原正廣弁護士です。藤原弁護士が「法的には可能」という見解を示したことで、県は元局長の処分に向けて動き出します。

綱紀委員会での弁護士意見(5月2日)
「居酒屋などで聞いた単なる噂話を信じて作成した文書は、その内容が真実であると信じるにつき相当な理由にはならず、告発者の利益を守る対象ではない」

その藤原弁護士も証言に立ちました。

兵庫県特別弁護士 藤原正廣氏
「前提は噂話だというところ。それが居酒屋となれば、お酒の勢いで尾ひれがついて、さらに膨らんでいくという評価になってくる。真実相当性が認められない。懲戒処分は可能である」

専門家の見解は違います。

上智大学 奥山俊宏教授
「どこの場所で聞こうが、相手がそのことを直接見聞きした人であるとか、その内容について報告を受ける立場・役職者であるとか、そういう場合なら信じるに足りる相当な理由の根拠になる」

6日の百条委員会は斎藤知事が出席する予定です。

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