8月末に各地を襲った台風10号に関連し、台風の勢力が強いまま被害に遭った九州や沖縄で献血不足が深刻化している。台風による強風や大雨に見舞われた28~30日は、献血の受け入れが中止、短縮され、3日間で予定していた約2600人分を確保できなくなった。今夏は元々猛暑が影響して献血会場に足を運ぶ人が少なかったこともあり、不足に拍車がかかった格好で、関係者が積極的な協力を呼び掛けている。
8月末に九州を通過した台風は進行速度が遅く、長く影響が続いた九州や沖縄では、28~30日に献血ルームや献血バスが40カ所稼働できず、20カ所が稼働時間を短縮した。このため、九州や沖縄の医療機関では、輸血用血液を管内の献血だけでは確保できない状態となり、日本赤十字社九州ブロック血液センター(福岡県)は全国から血液製剤を融通してもらって、病院などに供給する緊急措置を取った。
しかし、県赤十字血液センターによると、どの血液型も安定供給できる状態ではなく、最も一般的な400ミリリットルの献血は、現在も早期の協力が求められるほど需給は逼迫(ひっぱく)しているという。
献血が不足する背景には、記録的な猛暑との関連も指摘されている。県薬務室によると、今夏の県内の献血者数は、7月が前年同月比1091人減の2728人、8月が同3021人減の1086人と急減した。担当者は「夏場は長期休暇などで例年協力者が減る傾向にあるが、今年は猛暑で一層少なくなった」と分析する。
そんな中、県などは5日、県立豊府高校(大分市花園3)で高校生向けの献血体験会を実施。新型コロナウイルス感染拡大に伴い、若年層の「献血離れ」が進んでいることから、10代のうちに献血を体験してもらい、将来的な協力者増につなげようと企画した。
参加した生徒や教職員計約30人は、校内の駐車場に止まったバスに乗り込み、献血を体験。初めて協力したという2年生の渡辺悠真さん(17)は「注射の痛みや血を取られる不安は特に感じなかった。献血者が少なくなっているなら、なるべく協力していきたい」と話した。
献血会場は、各県赤十字血液センターのホームページで公表されており、大分(https://www.bs.jrc.or.jp/bc9/oita/index.html)は、トキハわさだタウン(大分市玉沢)の献血ルームなどで実施している。【李英浩】
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