交通トラブルを装い撮影した他人の運転免許証でクレジットカードを契約し、スマートフォンを購入したなどとして、警視庁犯罪収益対策課は4日、東京都江東区の職業不詳、斎藤貴聡(たかあき)容疑者(32)ら男女3人を詐欺容疑などで逮捕したと発表した。
警視庁によると、斎藤容疑者らは高級外車を運転し、高速道路を走行するトラックやダンプカーを追跡。サービスエリアなどに停車した際、運転手に「飛び石が当たって車体が傷ついた。連絡先を交換したい」とうそをつき、相手の免許証を撮影していたという。
そうして得た免許証の画像を悪用し、運転手ら9人の名義で、クレジットカードの契約を申請。2022年12月からの約1年半で、不正に取得したカード34枚を使って、スマホなど約4000万円相当の商品を購入していたという。スマホはリサイクルショップなどで転売して、利益を得ていたとみられる。
他に逮捕されたのは、斎藤容疑者の妻で職業不詳の智華(ちはる)(33)、夫婦の知人で派遣社員の野村祐貴(30)=横浜市=両容疑者。
逮捕容疑は23年7月10日、他人名義のクレジットカードを使って、大阪府の家電量販店でスマホ2台(約30万円相当)を購入し、だまし取ったなどとしている。斎藤容疑者は黙秘し、智華容疑者は否認している。野村容疑者は容疑を認めているという。
警視庁によると、斎藤容疑者らはサービスエリアなどで停車した際に自ら110番し、駆けつけた警察官には飛び石で車が傷ついたとする虚偽の被害を申告。相手の運転手と免許証を撮影し合い、連絡先の交換を装っていたという。
そして、免許証の画像を使ってクレジットカードの契約に必要な銀行口座を開設し、携帯電話の回線も契約。その口座と携帯電話の情報と、免許証の画像をカード会社に提出し、契約を結んでいたとされる。
カードの送り先は、自宅とは別に契約したマンションに指定。受け取る時にはマスクや帽子で顔を隠したうえで、あらかじめ用意した偽造免許証で本人確認を済ませていたという。
捜査幹部は「運転免許証さえあれば、口座開設やクレジットカードの契約ができてしまう。知らない人に安易に見せるのはリスクがある」と指摘している。【森田采花】
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