今夏の記録的な高温の要因について説明する気象庁異常気象分析検討会の中村尚会長(左)=東京都港区で2024年9月2日午後5時10分、大野友嘉子撮影

 気象庁は2日、今夏(6~8月)の全国の平均気温が平年より1・76度高く、1898年の統計開始以来最高だった2023年と並び、1位タイとなったと発表した。気象庁異常気象分析検討会会長の中村尚・東京大教授は同日の記者会見で「昨年の高温を上回る地域もあった。今年の暑さも異常気象と呼んで差し支えない」と述べた。特に7月の高温は地球温暖化がなければほぼ起こり得なかったと推定されるという。

 気象庁によると、最高気温が35度以上の猛暑日の地点数はこの3カ月で延べ8821地点となり、過去最多だった23年(6692地点)を大きく上回った。今夏記録した最高気温が年間を通じて観測史上1位(タイ記録を含む)となった地点は、全国914地点中144地点に上った。

 また、40度を超えた地点は、観測史上3位タイの41度を記録した栃木県佐野市(7月29日)など9地点あった。

 地域別では、西日本で平年より1・4度、沖縄・奄美で0・9度高く、それぞれ統計開始以降最高となった。東日本は1・7度高く、1位タイだった。

 月別では、7月が全国的に記録的な高温となり、平均気温は23年の記録を上回り、統計開始以来1位となった。検討会の分析によると、7、8月の高温の要因は、日本付近で亜熱帯ジェット気流が北に蛇行し、西日本を中心に背の高い暖かな高気圧に覆われ続けたことに加え、日本近海の海面水温が顕著に高かったことなどが考えられるという。さらに温暖化による気温の上昇傾向や、太平洋赤道域東部の海面水温が高い状態が続く「エルニーニョ現象」が今春まで続いたことも影響したとしている。

日本の夏(6~8月)の平均気温の推移

 また、東大などの研究チームは個々の気象現象と温暖化の関係を推定する手法「イベント・アトリビューション」を用いて今夏の高温などについて分析。7月の記録的な高温は、温暖化の影響がなかった場合は「ほぼ発生し得なかった」との結果になった。

 検討会の報告によると、7月下旬の北日本の大雨についても温暖化に伴う気温上昇によって降水量が増加した可能性があるという。

 中村会長は「温暖化が気温の底上げをしていることは間違いなく、加えて昨年と今年は日本近海の海面水温が記録的な高さで、大気が温かい海から直接加熱を受けたり、南からの空気が冷やされにくかったりしたという要因がある」と指摘。23年の夏の気温を上回らなかったことについては「台風10号が長く日本付近にいて、(8月下旬に)日射が少なかったことなどが影響したのではないか」との見解を示した。【大野友嘉子】

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