横浜市と東京ガスが、下水道資源を都市ガスの主成分であるメタン製造に活用する実証を始めた。関係施設が集積する鶴見区末広町で、下水処理の過程で回収した二酸化炭素(CO2)や水を原料に使い、より環境を重視した地域連携モデルの有効性を検証する。
市と東京ガスは2022年1月、CO2と水素(H2)の反応によりメタンを生成する技術「メタネーション」の実証に向けた連携協定を締結。市北部下水道センターに設けた仮設設備で、適用性や製造の試験を重ねてきた。
下水処理した水をろ過した「再生水」や、下水汚泥を処理する過程で発生するバイオガス「消化ガス」を、水素やメタンの原料として同センターから供給。製造の実証を8月23日から、隣接する東京ガス横浜テクノステーションで始めている。
市下水道河川局施設管理課によると、今回の実証で製造されるのは「5世帯が1カ月使える程度」の合成メタン。だが非化石エネルギー源が原料であるため、温室効果ガス排出が実質ゼロの「カーボンニュートラル」社会の実現に向けた技術として期待されている。
製造実証の舞台である鶴見区末広町には生産機能や研究開発拠点が集積。市などは23年度、ごみ焼却工場の排ガスからCO2を回収し、メタン生成に利用する実証も行っている。
今回の製造実証は年度内続く予定。CO2を回収し、資源として利用する「CCU」技術の向上や利用拡大に向け「安全性や実用性についても検証する」(市担当者)考えだ。【岡正勝】
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