各地で広がる台風被害、品薄が続く「コメ」の収穫にも影響が。

■“コメ不足”解消カギ「新米」 雨予報に戦々恐々

台風の影響はコメ不足の中、新米の収穫に追われる農家にも…
(庄治郎商会 原澤太一社長)「雨が降っても水田に水が溜まらないような形で刈り取りを迎えるように…」
新潟県南魚沼市で200年続くコメ農家でコシヒカリを作る原澤さん。
(庄治郎商会 原澤太一社長)「この時期になってくると稲刈りはもちろん、雨が降るとできないので、今回の台風とか雨というのは警戒しながら作業する形になっています」
原澤さんは20ヘクタールの田んぼで年間約100トンのコメを収穫。ホテルや飲食店など様々な取引先に販売しています。コメ保管する倉庫を見ると…
(庄治郎商会 原澤太一社長)「(例年)8月末でも多少お米は保管している状況なんですが、今年はコメ不足もあって今は本当に在庫が全く無いという状況です。普段だったらだいたい30キロの米袋が100袋くらいある状況なんですけど…」
先月中旬から急激に注文が増え、出荷が例年の3割増に。新米の収穫が急務です。しかし前日にも無情の雨が…
(庄治郎商会 原澤太一社長)「市内でも広い範囲で降っているんじゃないかと思っているんですけど…これ以上雨も強くならないで欲しい」
「雨強くなってきましたね…」
(庄治郎商会 原澤太一社長)「こればっかりは晴れてもらうのを祈るばかりですね…」
強さを増す雨…急がれる新米の収穫は出来るのでしょうか。そして、けさ…
Q.おはようございます、きょうは稲刈りは?
(庄治郎商会 原澤太一社長)「昨日の雨が嘘のように、今日はばっちり稲刈りします」
この日、1ヘクタールの田んぼの稲刈りを行い約4800キロのコメを収穫。今年は豊作だといいます。
(庄治郎商会 原澤太一社長)「全国的に収穫も進んでいるので、9月中旬位には(コメ不足は)解消されるのかなと思っております」

コメの品薄状態について農林水産省は、あす2日から子ども食堂などに対する備蓄米の無償交付を全国47都道府県51カ所で受け付けると発表。その一方で…
Q.いまの現状を「不足」とは考えていないと?
(坂本哲志・農水大臣)「今般の短期的なコメの品薄状況などに対しては、今後新米の出回りも踏まえれば慎重になるべきだと考えております」
新米の入荷により今月中には品薄が解消される見込みだという政府、しかし消費者にとってはもう一つの懸念が…

■独自入手 新米“卸価格”は大幅に値上げ

これは番組が独自に入手した去年と今年の新米の価格が記された資料です。米の卸業者が小売業者に出した物で、一昨日出された最新のリストです。千葉産の同じ品種のコメが去年は60キロ=1万4300円で売られていた物が、今年は2万7000円。1万2700円と大幅に値上げされていました。最終的に新米の店頭価格に反映される可能性があります。
8月のコメの価格は前年同月比で26.3%と大幅に上昇していて、さらなる影響が懸念されます。

■農家懸念 新米“買い付け”価格「去年の倍ほど」

(横田農場 横田修一代表)「これが今年収穫した新米になります。去年と同じかそれ以上くらいの収量はとれている印象です」
この地で800年以上続くコメ農家の横田さん。すでに新米の出荷が始まっています。その一方、横田さんが懸念しているのが、新米の価格です。
(横田農場 横田修一代表)「今年の加熱ぶりというかはちょっと過去見たことないぐらいのおかしな状況になっていると思います。農家から買う値段は去年の倍ぐらいになっていますから」
コメの流通は主に農協ルートと民間の集荷業者を通す、2つルートを通して店頭に並びます。通常、農協が農家に支払う“概算金”と呼ばれる価格が基準となります。その基準額が、全国的に急上昇。JA茨城では、前年比で4割以上も上がっています。
(横田農場 横田修一代表)「人件費だって機械だって諸々上がってるんで、もちろんその分のコストは価格に反映させて、少し値上げしてくってことはあると思うんですけど、それとは違い、不足してしまったから急に高騰する、みたいな…」
さらに、横田さんは背景について民間の集荷業者による買い占めが起きていると指摘します。
(横田農場 横田修一代表)「去年がだいたい1万2〜3千円ぐらいで売っていたのが、今年で言うと2万5〜6千円ぐらい60キロですね。倍ぐらいの値段で集荷しているっていうことだと思います。当然そういう仕入れた値段で、またその値段でさばかないといけないですから。でないと彼ら(集荷業者)も赤字になってしまいますから。だから皆さん本当に困っていますね。ただこれ(値上げ)でやるしかないですからね、この状況ですから」

■コメ販売店「年内は高値続く可能性」

都内のお米販売店では、客に新米価格の値上げについて説明を行っていました。
(天地米店 小澤量店主)「新米も順調に入ってきますのでね、ただ高くなっています。むちゃくちゃ値上っています。一般的な値段の5キロで600円は間違いなく上がるかなという感じですかね」
都内で米の販売店を営む小澤量さん。
直接農家からおコメを仕入れているというこちらのお店。現在は、販売できるギリギリの量は確保できているといいますが、これから入ってくる新米の価格の高騰に頭を悩ませています。
(天地米店 小澤量店主)「民間の方(卸売業者)が買い付けに行く金額がどんどん高値になってきて、(新米の価格も)そこをベースにスタートしているので、農協さんと集荷業者さんとの競争もあるので、高いものを出した方にお米が流れますから…」
小澤さんは、年内いっぱいは新米価格も高い状態が続くと見込んでいます。
(天地米店 小澤量店主)「それだけ上がっていて、前と同じだったりということはありえないので、どこまで上げられるかは、本人(経営者)の判断とあとはお客さんとの関係になると思います」
すでに、出まわり始めている今年の新米。台風シーズンが続く中、新米を刈り終えるまで、農家の不安は続きます。

9月1日『サンデーステーション』より

▶「サンデーステーション」公式ホームページ

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