NHK放送センター=尾籠章裕撮影

 NHKのラジオ国際放送などの中国語ニュースで、中国籍の外部スタッフ男性が沖縄県・尖閣諸島について「中国の領土」などと発言した問題で、男性が待遇面で不満を漏らしていたことが30日、判明した。NHKなど複数の関係者が「待遇への不公平感があったと聞いている」と明かした。問題発言の一因になった可能性がある。

 過去にNHKのラジオ国際放送の番組で男性と働いていたことがある関係者によると、男性は中国語で読み上げるニュースの内容によっては「中国国内で批判にさらされるリスクがある」との不安を抱えていたという。尖閣諸島など日本と中国で主張が異なる問題についてニュースを読むことにストレスがあり、NHK側の対応に不満を持っていたとみられる。NHKが21日付で契約を解除した男性については、帰国したとの中国メディアの報道もあり、その場合、損害賠償請求などが難しくなるため、同局で対応を考えている。

 男性は40代で、2002年からNHKと、18年からはNHKの関連団体と業務委託契約を結んでいた。男性は、19日午後1時過ぎから放送された同局のラジオ国際放送などの中国語ニュースの中で、東京都千代田区の靖国神社で落書きが見つかった事件に関するニュースを伝えた際、原稿にはない文言を約20秒間、発言。「南京大虐殺を忘れるな」などとも発言した上で、「NHKの歴史修正主義宣伝とプロフェッショナルではない業務に抗議します」とNHKへの不満も表明していた。【井上知大】

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