台風10号は30日午前、勢力を弱めながら九州中央部を横断し、午後には愛媛県から高知県を横切るように進んだ。風速25メートル以上の暴風域はなくなったが、気象庁は近畿と東海では31日午前中までに線状降水帯が発生する可能性があり警戒を呼びかけている。
佐賀県鹿島市では29日午前10時半ごろ、祐徳稲荷神社の参道で80代男性が倒れているのが見つかった。徳島県上板町では29日午後5時20分ごろ、2階建て木造住宅が崩れ、80代の男性が病院に搬送された。いずれも死亡が確認された。
愛知県蒲郡(がまごおり)市の土砂崩れによる犠牲者3人を含め、死者は5人となった。毎日新聞の30日午後5時現在のまとめでは、鹿児島県で1人が行方不明となっている。九州では100人が重軽傷を負った。
また、福岡県築上町では29日夜、台風で増水した川の様子を見に行った80代の男性が行方不明になり、30日朝に遺体で見つかった。県などは、台風との関連を調べている。
気象庁によると、台風10号は30日午後6時には愛媛県今治(いまばり)市付近に位置し、東北東へ時速15キロで進んでいる。勢力は中心気圧が994ヘクトパスカル、中心付近の最大風速は18メートル、最大瞬間風速は25メートル。30日午後の予報では、9月1日午後3時以降には熱帯低気圧に変わりそうだという。
台風から離れた地域でも太平洋側を中心に暖かく湿った空気が流れ込んだ影響で、各地で大雨が降った。8月25日午後6時の降り始めから30日午後4時までの降水量(アメダスの速報値)は、静岡県伊豆市で626・5ミリ(8月1カ月の平均降水量の1・5倍)、愛知県新城市で507ミリ(同2・7倍)に上った。
31日午後6時までに予想される24時間雨量は、多いところで東海と近畿、四国で各300ミリ▽関東甲信150ミリ▽中国120ミリ▽北陸100ミリ。
31日も交通機関に影響が出る見通しだ。JR各社によると、東海道新幹線は始発から終日、三島―名古屋間で運休するほか、東京―三島間は運転開始のめどが立っておらず、終日運休する可能性があるという。名古屋―新大阪間は「こだま」を1時間あたり上下各2本程度運転するという。
山陽新幹線は、始発から新大阪―博多間で本数を減らして運行する予定だ。
空の便も、日本航空や全日空の大阪(伊丹)空港や中部空港などを発着する一部の便が欠航する。【山本芳博、洪玟香、面川美栄】
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