台風10号の接近に伴い、四国4県では29日から30日にかけて各地で土砂崩れなどの被害が相次いだ。各県は災害対策本部を設置するなどして対応を急ぎ、県民に対して早めの避難を呼びかけるなど、安全確保の徹底を求めた。
愛媛県では、29日に新居浜市の男性(88)が商業施設の駐車場で強風にあおられて転倒。顔面に負傷した。久万高原町では4棟の家屋が床下浸水した。また、四国電力によると、台風による雨風の影響で28日から30日にかけて停電が発生。松山、伊予、宇和島の各市などで30日午後5時半現在、延べ6446戸が停電となった。
また、2学期を開始していた学校にも影響が出た。30日は県内の小学校、県立高校計51校が臨時休校。30日に始業式を予定していた計10校が式を延期したという。
安全確保のため、観光施設なども営業を休止した。県立とべ動物園(砥部町)は30日、終日休園になり、翌31日の開園は午後からになる予定。松山城(松山市)も、29日午後6時から登城道を通行止めにし、30日は松山城天守や二之丸史跡庭園などが休業となった。
県内のJR予土線、予讃線が始発から終日運休し、松山空港も各便が欠航するなど、交通網も乱れた。また、各市町では避難所が開設され、松山市は、7月に3人が死亡する土砂崩れがあった松山城近くの松山市緑町の一部に警戒レベル4の避難指示を発令。対象の20世帯33人に市が直接電話して避難を呼びかけた。
高知県は30日午後、2回目の災害対策本部会議を開き、各部局が被害や対応状況を共有。津野町の採石場の森林部分で縦100メートル、横20メートルにわたる土砂崩れが発生したことなどが報告された。人的被害はなく、近くの川も土砂で埋まってはいないが、町道は通行止めとなり、今後の雨で土砂崩壊が進む可能性が懸念されるため、関係者で対応を急ぐという。30日午前4時57分時点で、高齢者などの避難者は28市町村の439世帯、544人に達した。浜田省司知事は県民に対し「今のところ大きな被害報告はないが、台風は四国横断のルートが想定されている。油断せず、最新の情報に注意して、早め早めの行動を心がけてほしい」と呼びかけた。
高知市では、30日の台風接近を見越して繁華街の商店は軒並み臨時休業した。普段は多くの人々でにぎわう観光名所「ひろめ市場」も休業し、市中心部にある商店街もほとんどがシャッターを下ろして閑散としていた。
29日に線状降水帯が発生した徳島県では、30日午前に災害対策本部を設置。上板町で住宅の屋根の天井が崩れ、80代の男性が死亡したことなどが報告され、後藤田正純知事は「災害が発生する前に早めに安全を確保してほしい」と呼びかけた。人命を最優先に県と市町村、自衛隊などの関係機関が連携して警戒に当たることなどを確認した。
香川県も県の公式ホームページで県内の避難情報を告知するなど警戒を呼びかけた。【広瀬晃子、鶴見泰寿、小林理、植松晃一、佐々木雅彦】
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