当時小学2年生だった男児が事故当時身につけていた帽子や靴など=大津市内で、2024年8月30日、午後1時54分、菊池真由撮影

 横断歩道を渡っていた当時小学2年の男児を貨物自動車ではねたとして自動車運転処罰法違反(過失致傷)の罪に問われた北脇優大被告(28)に対し、大津地裁(沖敦子裁判官)は30日、禁錮2年4月(求刑・禁錮4年)の判決を言い渡した。

 判決によると、北脇被告は3月11日、野洲市行畑1の市道交差点で右手に携帯電話を持ち、通話をしながら左手だけでハンドルを操作して貨物自動車を運転。交差点に赤信号のまま進入し、信号に従って横断歩道を渡っていた男児に衝突し、男児に意識が回復する見込みがない、生涯介護を必要とする重い障害を負わせた。

 沖裁判官は、北脇被告が、アスファルトを積んだ2トントラックを小学生の下校時間帯であることを認識しながら約20分にわたって通話をしつつ運転していたとして、「注意散漫となりやすく、運転操作にも支障を及ぼしかねない危険なもので、その不注意の程度は著しい」と指摘。男児は生命維持のために脳の大半を除去しており、「何の落ち度もない当時8歳の被害者に生じた結果は、死亡に匹敵するほど重大である。また、被害者の父母らの精神的衝撃や苦痛も甚大」と断じた。

「息子は一生ベッドの上」

 裁判後、男児の両親が大津市内で取材に応じた。男児は意識が戻ることなく現在も入院しているという。

 禁錮2年4月という判決を受け、母親は「(裁判所に罪を)認めていただいたのはうれしい。だが、被害者側の感情と刑罰には開きがある。このような事故に巻き込まれる中で、私も家族も2年4カ月という長さは、子供のこれからのことを思うと短く感じる」と声を震わせて話した上で「一生息子はベットの上の生活となるので、その時間を償えるとは思えない」と涙を浮かべた。

 父親は、「交通事故の(裁判の)結果を見たら執行猶予がつくことが多い。この日を境に交通事故に関する罪の重さをもっと考えていただきたい。ドライバーの方に一人でも多く、ながら運転などがないような運転をしてもらいたい」と強い口調で訴えた。【菊池真由】

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