台風10号の接近に伴い、宮崎市では竜巻とみられる突風で大きな被害が出た。竜巻のメカニズムに詳しい防衛大学校の小林文明教授(気象学)は「日本では竜巻は4分の1が台風に伴って発生する。台風の中心からかなり離れた場所でも注意が必要だ」と強調する。
小林教授によると、竜巻は台風に向かって吹き込む湿った空気で形成される積乱雲の列である「台風の腕」で発生することが多い。
台風の腕は中心から200~600キロほどの位置に存在し、1000キロ近く離れていることもある。積乱雲が数十、数百と列をなし、どの雲も竜巻を起こす潜在能力があるため、狭い範囲で短い時間に複数の竜巻が生じることも珍しくはない。山や丘など障害物がない平らな土地で被害が拡大しやすいという。
9月は台風シーズンであるとともに、竜巻シーズンでもある。近年は気候変動などの影響で台風の勢力が増しており、竜巻を生む力も強まっている。風速が弱い台風でも竜巻を発生させる能力があり、台風本体が来る半日~1日前に注意が必要だ。小林教授は「竜巻のメカニズムは大体分かっているが、台風そのものが嵐で、そこに組み込まれている竜巻を予測するのは難しいのが現状だ。台風に備えるのと同時に竜巻も起こりうるということを頭に入れる必要がある」と訴える。【山口響】
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