栃木県危機管理課は、大雨と洪水の警報が県内に発表された際、対象市町にいる人に、ウェブ上で避難を促すバナー広告を配信する事業を22日から始めた。県によるとこのような事業は全国的に珍しいという。
避難意識を高めてもらうのが狙い。平時よりも、警報発令時の方が啓発効果があることを踏まえ、配信を決めた。
広告は7種類。「あなたの今いる場所は安全ですか」、「大雨が降ってきましたが、ちょっと避難意識を向けてみませんか」など、目に留めてもらえるよう工夫した。
配信される広告の大きさや場所はさまざま。画面をクリックすると、安全な場所かどうかを確認するためのハザードマップが見られるようになっているものや、避難の際に持ち出す非常用袋の内容、避難を判断するためのフローチャート、避難の発令状況など知りたい情報にたどりつける。
25日から26日にかけて県央や那須地域、日光市などに大雨・洪水警報が出された際は、271万回のバナー広告が流れ、約2万人が見たという。そのうち約8300人はクリックしてハザードマップなども見たとみられる。担当者は「まずまずの成果」と話す。
自治体のこうした取り組みは、あまり例がないという。ただし、特別警報が発令されたら、配信は停止する。
県内29区域に気象台から警報が出ると、グーグルなどが推定した住所から対象者をしぼり、夜間・祝日も含め自動で広告を配信したり、終了したりできるようになっている。警報発令から広告の配信までの時間は10分程度という。
ただし、エリアメールやプッシュ通知ではないため、ウェブページを見ている人やアプリ利用中の人全員に表示されるわけではなく、警報が発令された時の広告の入札状況や、見ているサイトによって異なる。県の担当者は「適切なタイミングで避難準備を促し、逃げ遅れによる被害をなくしたい」と話している。【有田浩子】
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