写真はイメージ=ゲッティ

 帝国データバンク群馬支店は、県内企業の11・5%が最近1年間に客による迷惑行為「カスタマーハラスメント」(カスハラ)を受けたとする調査結果を発表した。「ない」は68・7%だった。企業からは「お店に対して良かれと思っていて、お客様自体がカスハラと思っていない事例がある」(自動車小売)などの声があった。【庄司哲也、田所柳子】

 規模別では大企業が全くなかったのに対し、中小企業が12・4%だった。業界別では小売が30%で最も多く、金融25%、建設16%、サービス13・8%などが続いた。主に個人を取引の対象とする業界で比較的割合が高かった。

 企業の対応策や取り組み(複数回答)では、電話に録音機能を付けるなど「顧客対応の記録」(22%)が最も多く、「カスハラを容認しない企業方針の策定」(15・4%)、「カスハラ発生時のサポート体制の構築」(9・3%)などが続いた。「取り組みがある」とした企業が50%だったのに対し、「特に取り組んでいない」が48・9%と、二分する結果だった。

 企業からは「顧客からコストダウンに協力しないと、他社に発注すると脅された」(工業用プラスチック製品製造)という声があった一方、「恫喝(どうかつ)するような言い回しで苦情を受けるケースもあるが、弊社の方針や状況を説明した上で改善がなければ契約解除を求めている」(経営コンサルティング)のように毅然(きぜん)とした態度で対応しているケースもあった。

 同支店は「近年は不当なクレームや嫌がらせ、インターネット上への一方的な悪評の書き込みなどにも対応せざるを得ない事象も発生している。被害をまだ受けていない企業も従業員の働きやすい環境や円滑な商取引を維持するため、カスハラなどへの対策を整える必要があるだろう」と指摘している。

 調査は6月17~30日に実施し、県内の182社から回答があった。

 カスハラを巡っては、山本一太知事は今月22日の記者会見で、県独自の防止条例を早期に策定する方針を示した。「県議会にお願いし、できるだけ早く制定したい」と述べた。

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