警察庁は29日、仮想通貨(暗号資産)の取引を分析する民間企業のツールを2025年度から活用する方針を発表した。詐欺の被害金が仮想通貨に換えられていることから、分析ツールを使ってマネーロンダリング(資金洗浄)の解明につなげる。25年度予算の概算要求に関連経費約1100万円を計上した。
警察庁によると、SNS(ネット交流サービス)上で著名人らになりすまして投資を勧める「SNS型投資詐欺」などでだまし取られた被害金は、追跡が困難な仮想通貨に換えられるケースがある。
活用するのは民間企業がオンライン上で提供しているサービスで、仮想通貨の移動の履歴の分析に役立つという。取引の流れを可視化し、犯罪グループの摘発に結びつけたい考え。分析の対象は、マネロンなどの可能性がある「疑わしい取引」の情報で、23年は約70万7900件に上る。
また、金融機関のサイトを装ってインターネットバンキングのIDやパスワードを盗み取る「フィッシングサイト」の識別に生成AI(人工知能)を導入する。偽サイトの識別を警察庁の職員でなく生成AIに任せ、高度化と効率化を図る。概算要求に関連経費約2600万円を盛り込んだ。
ほかにも道路が寸断された能登半島地震の教訓を踏まえ、大型資機材を積み込めるバン型四駆車を47都道府県に導入する経費約3億8200万円も要求した。【山崎征克】
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