西郷村真船にある住宅裏の民有地に造成された盛り土について、県は28日、盛り土規制法に基づき土砂の一部を撤去する県内初の強制代執行に着手した。来年3月中旬までに完了する計画で、費用は2億5500万円。県は造成した業者に撤去費用の支払いを求めるほか、同法違反容疑で刑事告発する方針だ。【根本太一】
「ただ今から地域の安全確保に向けて強制代執行を行います」。午前10時、県職員が宣言すると同時に、重機が作業を開始した。
県によると、盛り土は推定体積約4万1000立方メートルで、高さは最大22メートル。勾配48度。これを高さ15メートル、勾配30度の緩やかな丘になるまで1万7000立方メートルを目安に撤去し、風雨で崩落しないよう斜面に植栽する。
盛り土を造成したのは埼玉県の2業者で、県は6月、崩落により災害が発生する危険性があるとして、改善命令を出した。しかし、期限までに応じなかったため、強制代執行に踏み切った。
「やっと安心な生活に戻れる」と胸をなで下ろすのは、盛り土前の民家に義母(89)、夫(67)と暮らす児山美智子さん(65)。昨夏に盛り土が出現して以来、村や県、県警に対応を要請してきた。この夏は台風で二度、村営住宅に避難したという。「怖かったし、長かった。うれしいです」と喜ぶ一方で、造成した業者には「自分の土地でも盛り上げる量には限度があると思う」と憤りをあらわにした。
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