名古屋市教育委員会が多数の教員団体から校長職などに推薦する教員名簿とともに金品を受け取っていた問題で、市の調査検証チームは28日、「名簿、金品の授受で人事が不当にゆがめられたことは確認できなかった」とする最終報告書をまとめた。教育関係者から不満や改革を求める声が相次いだ。
愛知県内の教員や保護者らでつくる「あいち県民教育研究所」の所長を務める大橋基博・名古屋造形大名誉教授(71)=教育行政学=は「事実関係の解明に追われ、時間的にも、より根本的な背景を深く検証できなかったのでは」と指摘。「教員の昇任は校長の推薦、学校外の研究会などによるチェックといった二重の管理下に置かれている。この構造的な問題にしっかりメスを入れない限り、本当の解決はない。闇は深く、今回の検証を再検証する会議の設置が求められる」と話した。
報告書では、市教委の教職員課長らが校長経験のある教員OBらに人事異動案を「内覧」と称して事前に見せていたことについて「教育委員会制度に対する冒とくで、地方公務員に課された守秘義務に反する」と非難。関係職員に対する処分については「職員の任命権者である市教委の判断」として対応をゆだねた。
この点について、小中学校、特別支援学校の教職員などでつくる「名古屋教職員の会」の上村和範事務局長(68)は「教育行政に委ねられたのだから、市民、現場の教員が納得する形でしっかりと処分をしてほしい。子どもたちへの教育がゆがめられないためにも改善や改革は必要」と語った。【真貝恒平】
鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。