タワーマンションは、子育て世代に人気で、人口の流入や増加も期待されます。 兵庫県の神戸市は、新規の建設にあえて規制を設けています。
■神戸市 中心部で“タワマン規制”
神戸市は、2020年7月から、市の中心部で、『タワーマンションを含む大規模集合住宅』の新規建設を規制する条例を施行しました。
神戸市の“タワマン規制条例” この記事の写真は20枚神戸市のタワーマンションの規制エリアです。 神戸市の中心部、JR三ノ宮駅周辺です。 色のついた部分が、規制エリアです。
神戸市のタワマン規制エリア一般的に、タワーマンションは、高さ60m以上、20階以上の高層マンションを指します。
タワーマンションとは神戸市内には、5月時点で、64棟のタワーマンションが建っています。
神戸市内のタワマンタワーマンション規制に対する神戸市民の声です。
賛成の声です。
30代女性「家賃が高そうだし、あんまり庶民的ではない印象。つくらせないでいい」 70代女性
「地震が起きると、エレベーターが動かない。水をとるだけでも大変。
だからもういらない」 タワマン規制に賛成の声
反対の声です。
30代女性「人口が増えてくれるなら、タワーマンションは建てていいと思う」 30代男性
「タワーマンションは魅力的。いつかは住みたいから、もっとあっていいと思う。規制はいらない」 タワマン規制に反対の声
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■“タワマン規制” 踏み切った2つの理由とは■“タワマン規制” 踏み切った2つの理由とは
人口減少が続く神戸市が、タワーマンションの建設の規制をしています。
規制の理由1つ目が『居住者の高齢化』です。
居住者が高齢化することによって、修繕費や管理費などの負担が困難になるから、ということです。
規制の理由1「居住者の高齢化」タワーマンションの管理費の平均です。
マンション全体では、月に1万1580円ですが、タワーマンションは、月に1万4415円です。
一般のマンションよりもグレードの高い資材や設備で、タワーマンションは、管理コストなどが高くなる傾向だということです。
一方で、神戸市の65歳以上の割合は、2024年で約29%ですが、20年後の2044年には、約40%と見込まれています。
久元市長です。「数十年先、タワーマンションが廃墟化する可能性も」ある、ということです。 神戸市長「タワマンが廃墟化する可能性も」
タワーマンション規制の理由2つ目が『過剰な人口集中』です。
災害時に備蓄や避難所の確保が困難になったり、小中学校の過密化などの問題が発生する、ということです。
規制の理由2「過剰な人口集中」神戸市立こうべ小学校では、2000年には499人だった児童数が、2023年には900人になり、学級数は17から30に増えました。
校舎が足りず、一部の児童は仮設校舎で学校生活を送ることになったということです。
「神戸市全体で児童数が減少する中、一地域のみが偏って増加した。狭いエリアに急激に人口が増えると、小学校などのインフラ不足を招くだけでなく、災害時に、備蓄や避難所の確保が困難になる懸念もある」 神戸市長 偏った人口増に懸念
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■大都市でタワマン建設活況 大阪市は人口上昇続く■大都市でタワマン建設活況 大阪市は人口上昇続く
神戸市がタワーマンションの建設を規制する一方で、東京や大阪などは建設を進めています。
全国のタワーマンションの数です。
最も多いのは、東京で479棟。
2番目に多いのは、大阪で273棟。
神戸市がある兵庫は、4番目で95棟です。
東京と大阪は、タワーマンション建設が活況で、2023年は、東京・大阪いずれも全国最多となる9棟のタワーマンションを竣工。
2024年は、東京で全国最多となる15棟、大阪では東京に次ぐ9棟の竣工を予定しています。
「大阪市の一番中心の西区や中央区に、タワーマンションが増えてきている。意図して増やしているわけではないが、結果的に人口が増えている」
ということです。 大阪市の担当者
大阪市の人口です。 1994年は約259万人でしたが、2023年には約277万人と、上昇傾向が続いています。
大阪市の人口 タワーマンションのメリットについて、不動産コンサルタントの長嶋修さんによると、「財政面で見たら、多くの人が集まって生活した方が、インフラ整備など行政を進める上で効率がいい。タワーマンションは、限られた土地に多くの人が住める点で、メリットがある」といいます。
さらに、
「東京や大阪のように、タワーマンションを増やして活性化を図るのも、自治体としては1つの方向性」ということです。 タワーマンションのメリット
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■人口150万人割れの神戸市 大都市へ流出も■人口150万人割れの神戸市 大都市へ流出も
神戸市の人口は減少を続けています。
1994年に約151万人だった人口は、阪神大震災の影響で、1995年に約142万人に減少しました。
その後、上昇し、2011年に約154万人になり、これをピークに減少。
2023年は約149万人と、2001年以来の150万人割れとなりました。
神戸市の人口減少の原因、1つ目は、自然減です。
出生数を死亡数が上回ることで、神戸市の2023年の出生数は8818人、死亡数は1万8650人と、死亡数が出生数の倍以上となりました。
人口減少の原因1「自然滅」人口減少の原因、2つ目は、大都市などへの人口流出です。
大阪市や大阪により近い兵庫県内の西宮市、尼崎市などに人口が流出しています。
人口減少の原因2「人口流出」(「羽鳥慎一モーニングショー」2024年8月21日放送分より)
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