不当な賃金制度だと訴える原告側代理人ら=大阪市北区で2024年8月27日午後2時1分、木島諒子撮影

 引っ越し大手「サカイ引越センター」(堺市)の賃金制度は不当だとして、社員ら6人が27日、未払い残業代など計約3600万円の支払いをサカイに求める訴訟を大阪地裁に起こした。原告側は残業代が低く抑えられているとして、「裁判で給与体系の見直しにつなげたい」と訴えている。

 原告は作業員兼ドライバーの社員3人と元社員の3人。大阪や神奈川など5府県に居住している。

 訴状などによると、サカイでは仕事の成果に応じて賃金が決まる「出来高払い制」を採用。作業の件数などに応じて手当が支給されているが、自身の努力にかかわらず会社の指示で仕事内容が決まることから、原告側は出来高払いが当てはまらないと指摘する。

 そのうえで、月給制に比べて残業代が安く設定されていると主張。原告側は「出来高払いの制度を悪用している」と訴えており、未払い残業代として計約1900万円のほか、支払いを怠ったことに伴う制裁金に当たる付加金計約1700万円を求めている。

未払いの残業代などを求めて提訴した後に記者会見する原告側代理人の村松暁弁護士=大阪市北区で2024年8月27日午後2時20分、木島諒子撮影

 同社を巡っては、別の元社員3人が起こした同種訴訟で東京地裁立川支部判決(2023年8月)が残業代や付加金として計約1600万円の支払いを命じた。24年5月の東京高裁判決も1審判決を支持し、サカイ側敗訴としている。

 原告側によると、高裁判決の直前、サカイ側は「精算金」として社員に数万~十数万円を支払う一方で、社員側が金銭などの請求権を放棄するとの同意書を配り署名を求めたという。原告のうち4人もサインしており、原告側代理人の小林克信弁護士は記者会見で「社員に十分な説明をしておらず同意書は無効だ。裁判で争いたい」と話した。

 サカイは「訴状が届いていないため回答を差し控える」とコメントした。【木島諒子】

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