一部で品薄になっているお米です。大阪府が備蓄米の放出を国に求めたのに対し、政府は27日、否定的な見方を示しました。一体、なぜなのでしょうか。
■「備蓄米の放出」政府なぜ否定的?
大都市・大阪では、深刻な米不足に陥っています。
フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長
「8月の2週目くらいから、全く在庫がない状態が続いている」
大阪市内のスーパー。27日朝、店がオープンする時間に米売り場の棚には米が1つもありません。
フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長
「本当に米がない。どのスーパーに行っても米が空の状態になっているので、私たちとしても非常に心苦しい」
午前10時ごろ、およそ30袋の米が納品され、店頭に並びます。
ただ、品薄だけでなく価格も高騰しています。
フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長
「今、今年の新米に変わってきているが、去年の販売価格に比べるとほぼ倍の値段で売らないといけないくらいの価格になっている」
27日の入荷分は、わずか30分で売り切れたといいます。
「令和の米騒動」とも呼ばれる今回の事態を受け、大阪府は緊急調査を実施。
府内の小売店の実に8割で、米が品切れになっている状況であることが分かったのです。
大阪府の吉村知事は26日、「政府備蓄米の放出」を国に要望しました。
大阪府 吉村洋文知事
「政府の備蓄米の開放の要望を農水省にした。需給がひっ迫しているのであれば倉庫に眠らせておく必要はないと思う」
■「政府備蓄米」の放出は?
「政府備蓄米」とは、どのような場合に放出されるのでしょうか。
政府備蓄米とは、国民の主食である米が不作の時でも安定して食べられるように政府が買い入れて保管している米のことです。
政府備蓄米は、6月の時点で91万トンが保管されています。米が大不作などの場合に供給するとしています。
前回、備蓄米が放出されたのは東日本大震災が起きた翌年の2012年です。今回、米の販売店からも備蓄米放出を要望する声が。
フレッシュマーケットアオイ 内田寿仁社長
「備蓄米が放出されて米がない状況が解消されるなら、もう今すぐにでも(放出を)やってほしい」
27日、農林水産大臣が「政府備蓄米の放出」について見解を述べました。
農水省 坂本哲志大臣
「政府備蓄米の放出について要望があったが、民間流通が基本となっている米の需給や価格に影響を与える恐れがあるため、慎重に考えるべきものと考えている」
「備蓄米の放出」について、否定的な見方を示しました。
また、放出には数週間程度の手続きが必要なため、今、放出を決めるとちょうど新米の流通時期と重なることになります。
農水省 坂本哲志大臣
「新米が通常よりも早く出回り始めているので、いつごろと断言はできないが、(米の)不足感というのはだんだん減少していくと思う」
備蓄米の放出について政府が否定的な見方を示したのを受け、大阪府の吉村知事は2つのポイントを上げ、反論します。
■「現場を見て」吉村知事が反論
大阪府 吉村洋文知事
「(備蓄米を)開放しないという理由が、需給はひっ迫していないということと、価格に影響を与える、この2点が大きな理由だと思う。需給がひっ迫していないかどうかは現場を見てほしいと思う。僕は需給がひっ迫していると思う。米の価格はかなり急騰している。それは現場に行けばすぐに分かる」
店頭での米不足が解消されないなか、今、注文が殺到しているのが。
農家から直接、米を買うことができる「産地直送の通販」です。
ポケットマルシェ 広報 仲野脩さん
「米の流通量が拡大している。8月14日から20日の販売額を去年と比較すると、約5倍。9月発送分の予約の販売額も前年比約15倍に増加。ポケットマルシェで『米』と検索すると、約800件出品されている。自分の好きなブランド米やエリアを選びながら米を購入できる」
そして、「新たな品種」も注目されています。
スープカレーにそえられた米。
ジャポニカ種とインディカ種を掛け合わせた、「プリンセスサリー」という品種です。
「プリンセスサリー」は、今年1月から無印良品が販売を開始。
現在、全国160店舗とネット通販で購入できます。今、買う人が増えているといいます。
良品計画 ソーシャルグッド事業部 佐藤一成さん
「1.5倍くらい直近だと増えている。カレーやアジア料理とセットで購入する人も多い」
表面はパラパラで、中はモチモチなのが特徴です。
50代
「つぶ感がタイ米に近い感じがするが、甘みは国産と近いので面白い。カレーには合う」
「あ、本当だ。つぶつぶ感がおいしい」
千葉県鴨川市の農家が育てていて、9月に新米の収穫が行われます。
米農家 佐久間孝人さん(69)
「台風の翌日にどうなっているのか興味深く見たら、全く倒れなかったので、かなり強いという印象」
台風に強い品種としても、今後、期待が寄せられています。
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