寄贈された1万円札を手に喜ぶ小島進・深谷市長=深谷市役所で2024年8月26日午前11時6分、隈元浩彦撮影

 埼玉県深谷市出身の実業家、渋沢栄一が肖像に描かれた新1万円札が発行されて間もなく2カ月。「栄一」にちなんで記番号「1」の新札入手を悲願としていた同市にサプライズのプレゼントが届いた。市の思いを知った福岡市在住の理容師、重冨新さん(43)から記番号「1」の新札が寄贈された。26日から市役所本庁舎1階の特設コーナーで展示されている。

 市は発行以前から、記番号「1」の入手に向けて関係機関に働きかけていた。だが、発行日の7月3日、日本銀行から市に贈呈された新札の記番号は「6(AA000006AA)」。結局、記番号1は貨幣博物館、同2は東京商工会議所、同3はJR東日本に贈られ、深谷市は出身地としてちょっと寂しい6番目に甘んじていた。

 寄贈者の重冨さんは両替した際、たまたま「AH000001DG」の新札を入手。深谷市が記番号「1」に思い入れがあることをインターネットで知り、7月末に市に連絡した。とんとん拍子で市への寄贈が決まったという。

 800キロ以上の距離を超えた“好意”のプレゼントに、小島進市長は「どうしても(栄一にちなんで)『A1』番がほしいと言い続けてきたので、その思いが伝わったのかもしれない。寄贈は想像もしていなかったので、大変うれしい」と話した。

 重冨さんは「生誕地に寄贈できたことをうれしく思います。深谷市という地名は知っていましたが、ゆかりはありません。今回の件で深谷市がどんなところなのか知りたくなりました」とするコメントを市に寄せた。【隈元浩彦】

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