世界に数点しかないと言われるアイヌの装飾品「ホホチリ」が23日、ドイツのラウテンシュトラウフ・ヨースト博物館から国立アイヌ民族博物館(北海道白老町)に寄託された。世界でも確認されているのは北海道博物館の1点を含めた2例しかなく、国立アイヌ民族博物館は「人生儀礼の一環として使われたが、残存例は極めてまれ」としている。
このホホチリは縦5・2センチ、横4センチ。木綿布の上に黒、青、水色、黄色のビーズが縫い付けられており、樺太(現ロシア・サハリン)で収集された。
1910年以前にラウテンシュトラウフ・ヨースト博物館が古美術商から入手したとされ、98年には旧アイヌ民族博物館で展示公開された。
2019年にドイツを訪れた日本の研究者が、展示されているホホチリの前に立ち止まって議論を重ねていたことをきっかけに、「日本でさらに研究が進めば」と永久貸与が決まった。ラウテンシュトラウフ・ヨースト博物館のアナベル・スプリンガー学芸員は「ホホチリが皆さんにとってどれほど重要か理解している」と話した。
国立アイヌ民族博物館の田村将人資料情報室長は「樺太アイヌの子供が前髪から垂らして額につけ、小鳥を弓矢で打ち落とすなど成長が認められると切り落とされたという。人生儀礼を説明するには重要な史料だ」と説明した。
同博物館は今後、分析を進め、年度内にも成果を公開する予定。【平山公崇】
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