熊本県は22日、天草市天草町にある人気レジャースポット「轟の滝」周辺で川遊びをした人が相次いで下痢や嘔吐(おうと)などの症状を訴え、これまでに確認できた有症者数が計109人に上ったと発表した。いずれも軽症で快方に向かっているが、県は川の水が原因の感染症の可能性もあるとして注意を呼びかけている。
県によると、13日に滝の周辺で遊んだ高校生7人全員が嘔吐や下痢の症状を訴え、医療機関を受診した。その後も滝の近くで川遊びをした後に同様の症状を訴える人が相次いでいるという。
県は18日に遊泳を控えるように呼びかける看板を現地に設置。19日から原因調査を進めており、臭気や透明度、水素イオン指数(pH)などを調べたが、水質に関する値に異常はなかった。県健康危機管理課の担当者は「原因究明を急ぎたい」とし、細菌やウイルスなどによる感染症の可能性も含めて調べている。
滝は県が管理し、周辺には天草市が管理する遊歩道やつり橋もあり、地元で川遊びの人気スポットとなっている。遊泳のほか、高さ5、6メートルの岩場からの飛び込みを楽しむ若者も多い。
沖縄県立中部病院の高山義浩医師(感染症内科)は今回の集団感染について「過去に起きていなかったことが急に100人規模で起きたことを踏まえると、川に原因があるのではなく、何らかの微生物などが人によって外部から持ち込まれたと考えるのが自然だ」と分析する。
水辺での感染症には、ネズミなど野生動物の尿が雨で川に流れ込むことで感染が広がる「レプトスピラ症」もあるが、その場合は頭痛や発熱の症状が出ることが多く、今回の症状とは合致しないという。
その上で、海水とは異なり、淡水は汚染されやすいと指摘。対策として「池や川の水を飲まないことや、下痢などの症状がある場合は人が集まる水辺で遊ばないことで感染を予防してほしい」と話した。【山口桂子、日向米華】
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