群馬、埼玉両県にまたがる地域の自治体が空港整備を検討し始めたとして、首都直下地震などに対応する東京DMAT(災害派遣医療チーム)の関係者が21日、埼玉県上里町が空港候補地として検討する烏川河川敷を視察した。北側にある玉村町と川をはさんで2本の滑走路を作る構想も一部にあり、「群馬南部・埼玉北部は医療機関があり、南海トラフ、首都直下地震共に影響が少なくて一番良い退避ゾーンになる」との声が上がった。【田所柳子】
21日は東京DMAT運営協議会会長の山口芳裕・杏林大医学部教授らが、構想を推進した山本龍・前前橋市長や山下博一・上里町長らの案内を受け、上里ゴルフ場近くの河川敷を視察した。
首都直下地震では約2万3000人の死者と10万人以上の負傷者が想定され、山口氏は「各県からの医療チームが東京都に入るにも限界がある。一定程度都外で負傷者を引き受けてもらう必要があると思う」と話した。8日には南海トラフ地震臨時情報(巨大地震注意)が出されており、視察した関係者は「神奈川、静岡など都の西側は余裕がなく、群馬・埼玉北部の協力はありがたい」と指摘した。
上里町は付近の河川敷など約120万平方メートルに空港滑走路などを作る構想を検討し始めたが、国や町などが所有し、通常かかる約20年より短期での整備を見込めるという。山下氏は「羽田空港は過密化している。内陸の災害支援拠点になるほか、高崎のシリコンバレー構想や伊勢崎の半導体生産計画を含む地域の経済発展や観光にも貢献できる」と期待を示した。
群馬の前橋、高崎、伊勢崎、藤岡、玉村、埼玉の本庄、深谷、上里、美里、神川の10市町は昨年11月に「上武連携構想」勉強会を開き、空港整備の検討を本格化させた。候補地が決まれば、当初はドクターヘリやドローンなどの小規模な「垂直離着陸機専用ポート」を作り、その後に600メートル級滑走路、最終的に2500メートル級滑走路を整備して大規模な空港を完成させる案などを検討している。
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