「ルフィ」などと名乗る指示役による広域強盗事件のうち、東京都狛江市の住宅で高齢女性が暴行を受け死亡した事件に実行役として関わったとして、強盗致死罪などに問われた無職男性(21)=住所不定=の裁判員裁判の初公判が21日、東京地裁立川支部(杉山正明裁判長)で開かれた。男性は「強盗のみ認める」と述べ、強盗致死罪には当たらないとして起訴内容を一部否認した。
一連の広域強盗で被害者が唯一死亡した狛江市の事件で、関与した被告の公判が開かれるのは初めて。
起訴状によると、事件当時19歳だった男性は他の実行役らと共謀し、2023年1月19日午前11時半ごろ、宅配業者を装って狛江市の女性(当時90歳)の自宅に侵入。女性を結束バンドで拘束し、バールで複数回殴って死亡させ、腕時計を奪ったなどとされる。
検察側は冒頭陳述で、男性が「闇バイト」に応募し、事前に秘匿性の高い通信アプリ「テレグラム」を通じて「キム」と名乗る人物から、実行計画を伝えられたと指摘。暴力を伴う強盗をすると理解しており、強盗致死罪の共謀が成立すると説明した。
一方で弁護側は、バールによる暴行は別の実行役によるもので、男性の行動は被害者が死亡する直接の原因になっていないと主張。バールは金庫を開けるために用意し、暴行に使われる認識は無かったとして強盗罪にとどまると訴えた。
一連の広域強盗を巡っては、渡辺優樹(40)や今村磨人(40)両被告ら指示役とされる4人が強盗致死罪などで起訴されている。
狛江市の事件に関する公判では、被害者側からの申し出を受けて、地裁立川支部が「被害者特定事項秘匿制度」に基づき被害者を匿名にすることを認めた。【菅健吾】
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