今や日常生活には欠かせないコミュニケーションツールとなったSNSで、本心が伝わらずに誤解され、アカウントが炎上するなどのトラブルが相次いでいます。どのようにすれば防げるのか、取材しました。

 SNSでは、本人に悪気がなかったとしても、思わぬ批判を呼んでしまうことがあります。SNSでの文章によるコミュニケーショントラブルを経験した人は8割近くに上るといいます。

大学生
「勘違いをしたことがあって、“?”を付けないで“このぬいぐるみかっこよくね”とか。かっこよくない“?”を付けず“かっこよくない”みたいになった」

 クエスチョンマークを付けなかったことで、逆の意味になってしまうことも。

20代
「数百文字でしかコミュニケーションが取れないので、こっちが話している意図と別の解釈をされて誤解が何度か」

 そんな“SNSトラブル”を未然に防ごうと、スマホ用入力アプリ「Simeji」を提供するIT大手「Baidu」が新機能を開発しました。きっかけは“Z世代”の高校生、函館西高校の生徒と、その卒業生からの提案でした。

提案した生徒
「自分が伝えたい感情や思いが伝わらないと感じることが多く、誤解を与えてしまうことがある。この誤解がきっかけで、けんかやいじめに発展する恐れもある」

 「注意喚起機能」では、例えば「キモイ」や「消えろ」などと入力すると「誤解を招く恐れがあります」などと注意を促してくれます。

 また、「なんで来るの」と入力した場合、移動手段を聞いている意味にも来てほしくないという意味にも取れます。そこで、もう一つの新機能「表現の提案機能」では、「なんで来てくれるの?」と別の表現も表示します。

提案した生徒
「(Q.これからコミュニケーションをしていくのにどう気を付けたい?)テキスト上でしゃべっていることをちゃんと認識しながら、相手の気持ちを思いやれたら良いと思う」

 SNSをきっかけに犯罪に巻き込まれることもあります。ネットセキュリティーで知られる「ノートン」が小学生と保護者向けの「ITセミナー」を開くなど対策に乗り出しています。しかし、若年層への被害は増加傾向で、去年、小学生のSNSでの犯罪被害者は139人と過去最多になりました。

 東京都が小学生から高校生までの保護者に行ったアンケートでは子どもが「SNSで知らない人とやり取りしたことがある」と答えた人は小学校低学年が22.6%と最多で、このうちの33.6%が顔や体の画像や動画を送受信したといいます。

 専門家は、SNSでの誹謗(ひぼう)中傷やトラブルについて、こう指摘します

東京都立大学 法学部 星周一郎教授
「勢いに任せて書くということは注意したほうが良い。一歩、立ち止まって考えることが必要になってくると思う」

 怒りなどの感情に流されて誹謗中傷してしまってないかなど、一度、文章を見直すことが大事だといいます。

東京都立大学 法学部 星周一郎教授
「文字というのは、どうしても人間の感情が必ずしも伴っていないように見えてしまう。特に否定的な表現については10のことを思ったら10言うのではなく、本当にオブラートに包んでせいぜい3〜4くらいで伝える」

 世代を超えた課題になっているSNSでのコミュニケーション。一人ひとりが気を付けていく必要がありそうです。

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