夏の風物詩・花火大会。今年は開催が危ぶまれる事態が相次いでいます。一体、何が起きているのか、花火大会を取り巻く環境の変化を取材しました。

■今年の花火 中止・延期相次ぐ

 夜空に咲く大輪の花火。夏の風物詩として欠かせないイベントですが、今年は困難な状況に見舞われることがしばしば。16日、関東に接近した台風7号による影響や、8日に宮崎県沖・日向灘で発生した地震に伴う南海トラフ地震への警戒のため、各地で花火大会の中止や延期が相次いでいます。

 開催直前でも…。東京の大規模花火大会の先陣を切る「足立の花火」は開始20分前にゲリラ雷雨のため中止。集まったおよそ40万人の来場者たちの帰宅で、駅前などは大混乱となりました。

■花火大会“開催危機”相次ぐ

 天候や災害での中止が目立ちましたが、実はこうした天災の影響を受ける前から全国各地の花火大会は逆風が始まっていて、先月の時点で少なくとも20カ所以上で中止となっていました。

 主な中止の理由は、主催する自治体などの予算不足です。人手不足による警備員の単価上昇、そして花火自体も費用がかさんでいるのです。

 明治から150年以上、長野県松本市を拠点として花火を作り続ける「華松煙火」。コロナ前と比べると、火薬の原材料が50%ほど値上がりしているといいます。

華松煙火 上條博人社長
「青の色を出す酸化銅があるが、銅製品はすごく上がっている。2倍近く上がっている」

 ロシアのウクライナ侵攻による火薬の値上がり、さらには長引く円安。ただ、原料費高騰につれて毎年価格を上げ続けても花火離れが起こることを懸念し、今年の値上げは断念したといいます。しかし、原料費高騰は待ってくれません。

上條博人社長
「花火の玉を作るために必ず必要な玉皮があるが、この紙製品は30〜40%上がっている。厳しい」

 運営費用増加の影響で、花火大会は消えゆく風物詩となるのでしょうか。対策に乗り出している自治体もあります。

豊田市役所商業観光課 早水瑠菜さん
「新たにプレミアテーブル席など、快適にご観覧いただける席をご用意させていただきました」

 各地のイベントで進む有料席の導入。全国の主要な花火大会でも7割以上で有料席が設けられ、そのうち半数で前回から値上げを行うなど、大会開催の大きな柱となっています。

 さらにもう一つ今年から始めたのが、駐車場の予約有料化です。これが費用の確保につながったことに加え、予想外のメリットもあったといいます。

早水瑠菜さん
「事前に駐車場が確保できているという安心感がありまして、以前まで駐車場待ちの待機列だったり交通渋滞が発生していたが、こちらも緩和につなげることができたと考えております」

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