ろうそくで浮かんだ「復興願い」の文字を眺める来場者=石川県輪島市町野町金蔵で2024年8月15日午後7時1分、国本ようこ撮影

 お盆の15日、能登半島地震で被災した石川県の奥能登地方でも、先祖の霊を供養する営みが行われた。修復の進まない墓地でも手を合わせる人が絶えなかった。

 同県輪島市町野町の金蔵地区では同日夕、先祖供養と地震の犠牲者追悼、復興への願いを込めてろうそくをともすイベント「祖霊のともしび」が行われた。

 同地区の「正願寺」でボランティアたちが午後5時から、約2200個のろうそくに一つずつ着火。約1時間後、本堂の前に「復興願い」の文字と合唱する手をかたどった明かりが浮かび上がった。

 地震前から過疎が進んでいた同地区では、家屋倒壊による避難などで、95人いた住民が一時13人にまで減った。15日現在で70人弱が暮らすが、今も一部住民が避難で集落を離れている。

ブルーシートで覆われた墓が多い中、家族の健康や地域の復興を願い手を合わせる被災者たち=石川県輪島市河井町の墓地で2024年8月15日午前11時12分ごろ、竹中拓実撮影

 主催した「正願寺門徒ともしび同好会」世話人の石崎英純さん(74)は「復興は1~2年では終わらず時間がかかる。住民が早く戻ってこられるよう、そして能登半島全体の復興が進むよう願い続ける恒例のイベントにしたい」と話した。

 石川県輪島市河井町、一本松公園周辺は地元市民のお墓が集中する地区だ。地震の影響が激しく、通路をふさぐ倒壊石材を申し訳なさげにまたいで、自分の家の墓に行く人の姿も見られた。

 祖父らの墓に参った近くの女性(54)は、地震発生当時、墓石が倒れて中のお骨がむきだしになった墓もあったと振り返りつつ、「これからを見守ってくださいとお願いしました」と話していた。【国本ようこ、竹中拓実】

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