沖縄地方で真夏の厳しい暑さが続いています。那覇では今年7月、気温35度以上の「猛暑日」が8日もあり、19日には1890年に統計を取り始めてから最も高い36度を記録しました。気温が非常に高くなることで、熱中症による健康被害の危険性も高まります。熱中症を予防するための目安である「暑さ指数」と「熱中症警戒アラート」を学び、活用しましょう。(社会部・又吉嘉例)
35.4度、35度、35.5度―。那覇市では7月13~15日、3日連続の猛暑日を記録しました。いずれも最高気温の平年値(30年間の平均)より3度以上高い値です。那覇で3日連続の猛暑日となったのは1916年以来、108年ぶりのことでした。
沖縄気象台地球温暖化情報官・若松俊哉さんこの高温の原因は何だったのでしょうか。沖縄地方は6月20日の梅雨明け以降、太平洋高気圧に覆われて晴れた日が続きました。沖縄気象台の地球温暖化情報官、若松俊哉さんは「晴天が続いたことによる強い日射の影響が高温の要因だと考えている。加えて、高い海面水温や地球温暖化の影響も考えられる」と分析しました。
今年は7月中旬まで台風が来ませんでした。「台風は海中の冷たい水と海の表面の温かい水をかき混ぜて海面水温を下げる効果があるが、長い間来なかったので、海面水温が高い状態にあった」と指摘。「沖縄は海に囲まれているので、そのことも高温に影響したとみられます」
さらに、地球温暖化は確実に進行していて、夏の気温は長期的に上昇傾向にあるといいます。那覇や石垣島の夏の平均気温はいずれも100年で1.4度上昇するペースにあり、県内7地点の平均気温も100年で1.8度のペースで上がっているそう。「気温は毎年上下するものだが、もともとのベース(基礎)が高くなってきたので、ちょっと上に振れただけでもこんなに暑くなってしまう」と説明しました。
写真を拡大熱中症予防に暑さ指数を確認しよう環境省と気象庁は2021年、高温で熱中症のリスクが高まった時に注意を呼びかける「熱中症警戒アラート(警報)」の発表を始めました。気温や湿度、輻射(ふくしゃ)熱をもとに算出される「暑さ指数」が33以上になると予想された時に出されます。輻射熱とは日射しを浴びた時に受ける熱や、地面や建物、人体などから出ている熱です。
人間は体温が上がれば汗をかきます。この汗が蒸発する時に体から熱を逃がすことで、体温を下げています。暑さ指数は湿度を重視しますが、それは湿度が高いと汗が蒸発しにくくなるためです。環境省の「熱中症予防情報サイト」によると、指数が28以上になると「厳重警戒」となり、熱中症患者発生率が急増するそうです。31以上は「危険」。運動は中止、特に子どもの運動は中止すべきだとされています。
警戒アラートが出る暑さ指数33以上は人の健康に被害が出る恐れがあるとされています。さらに今年4月からは「熱中症特別警戒アラート」の運用も始まりました。こちらは暑さ指数35以上が予想される時に発表。「健康に重大な被害が生じる恐れがある」として、危険な暑さから自分や周囲の人の命を守るような行動を促します。
「地球温暖化の時代は終わり、地球沸騰化の時代が到来した」。国連のグテレス事務総長は23年7月、この月の世界の平均気温が観測史上最も高くなる見通しとなったことを受けて、そう警告しました。沖縄気象台の若松さんによると、温暖化が進んだ将来の予測のうち最悪の場合、21世紀末の沖縄の平均気温は20世紀末から3.3度上がるとみられているそうです。「沖縄でも特別警戒アラートが出るような未来も考えられます」として、CO2排出を抑えるような努力を望んでいます。
暑さ指数や熱中症警戒アラートの発表情報は環境省の熱中症予防情報サイト(https://www.wbgt.env.go.jp/)や、テレビのデータ放送などでも確認できます。
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