浜松市で講演する、袴田巌さんの再審開始を決定した静岡地裁で裁判長を務めた村山浩昭氏=20日午後

静岡県清水市(現静岡市)で一家4人が殺害された事件で死刑が確定した袴田巌さん(88)の再審開始を2014年に決定した村山浩昭元裁判長が20日、袴田さんの地元の浜松市で講演した。袴田さんの釈放を認めた決定を「通常の決定文では言い表せないほどの苦しみ、耐えがたさがあった。情緒的な表現だと批判があるが、後悔はしていない」と回顧した。

事件は1966年にみそ製造会社の専務宅で発生。みそ工場の従業員だった袴田さんが逮捕され、80年に死刑が確定した。2度の再審請求審を経て、静岡地裁で裁判長を務めた村山氏が「これ以上拘置するのは耐え難いほど正義に反する」として再審開始と釈放を認めた。

講演に出席した姉ひで子さん(91)は、14年の決定を振り返り「当時のことは忘れないようにしている。半年遅ければ獄中死だったと思う。村山先生は命の恩人です」と声を震わせながら語った。

鄭重声明:本文の著作権は原作者に帰属します。記事の転載は情報の伝達のみを目的としており、投資の助言を構成するものではありません。もし侵害行為があれば、すぐにご連絡ください。修正または削除いたします。ありがとうございます。