17日の夜遅く、愛媛県と高知県で観測された最大震度6弱の強い揺れ。四国地方で震度6弱以上を観測したのは、28年前に現在の震度階級が導入されて以降、初めてです。元日に起きた能登半島地震以降、全国各地で頻発している地震。
相次ぐ地震は、巨大地震の“前ぶれ”なのでしょうか。2人の専門家と徹底検証した結果、その共通点といま警戒すべきエリアが見えてきました。

■大地震前の“異常な地面の動き”に注目

京都大学・防災研究所の西村卓也教授は全国各地に設置されたGPSの位置情報を使って、ミリ単位で地面の動きを解析しています。

実は、元日の能登半島地震が起きる前、GPSがある動きを捉えていました。それまでほとんど動いてなかった珠洲市付近の地面で、去年5月までの2年半で“最大6cmの隆起”を観測したといいます。地面の動きを観測し始めた28年前から、1m30cmも動いている場所があります。それが「南海トラフ」のエリアです。南海トラフでは、海側のフィリピン海プレートが、陸側のユーラシアプレートの下に1年に数cmの速度で沈みこんでいます。それに引きずりこまれた陸側のプレートが耐えきれず、跳ね上がることで発生するのが「南海トラフ地震」です。

■南海トラフ地震への影響はある?

その南海トラフ地震の想定震源域内で発生したのが今回の地震ですが、気象庁は「巨大地震の可能性が急激に高まったわけではない」とみています。

(京都大学・防災研究所 西村卓也教授)
「想定されている地震は海のプレートと陸のプレートの境界でおこる地震です。一方、今回の地震は沈み込んでいるフィリピン海プレートの中でおこった地震で、プレート自体が割れたような地震ですね。動いている断層の向きや方向が違うので、そこまで直接的な影響がないんじゃないかと思います」

一方、今回の地震と南海トラフ地震の関連性を指摘する研究者もいます。東京大学・地震研究所の笠原順三名誉教授です。

(東京大学・地震研究所 笠原順三名誉教授)
「メカニズムが少し違いますけどお互いに関連して起きています。今回の地震は、南海トラフ地震のようなプレート境界の地震と“対になったような地震活動”であると思われます。影響が及ぶ可能性は非常にあると思います」

■相次ぐ地震に「共通点」

さらに、最近起きている各地の地震には、“共通点”があるといいます。

(東京大学・地震研究所 笠原順三名誉教授)
「3月頭の千葉県東方沖地震はフィリピン海プレートの一番東端。その少し後に茨城県南部の地震がありましたよね。それから宮崎沖の地震。今回の地震もすべてフィリピン海プレートの活動。とにかくフィリピン海プレートの沈み込みに伴って起きた地震です」

震度5弱以上が観測された地震は今年に入って23回。3月には福島や、北関東エリア。4月には青森・岩手、九州の宮崎、そして今回の愛媛・高知です。このうち3つの地震は「フィリピン海プレート」の沈み込みに伴って起きたという点で共通しています。そして、この動きは“これまでの地震活動とは違う”といいます。

(東京大学・地震研究所 笠原順三名誉教授)
「今までは東日本大震災の余震みたいのがほとんどだったんですが、その活動がフィリピン海プレートまで影響を与えて、それが今度はフィリピン海プレートの地震活動に移ってきたということを表しています」

そして、実は先日大きな地震が起きた「台湾」もこのフィリピン海プレートの西の端に位置しています。笠原教授は台湾地震も、日本国内で起きている地震も相互に作用していると指摘しています。

■警戒すべきエリアは?

今後、特に警戒すべきエリアを2人の専門家に聞きました。2人が共通してあげたのは「南海トラフ」と「北海道東部」です。

(東京大学・地震研究所 笠原順三名誉教授)
「警戒するところは南海トラフの東側。四国、紀伊半島、静岡、関東、その辺のかなり広い範囲ですけども、そういうところに影響を与える可能性があります」

(京都大学・防災研究所 西村卓也教授)
「北海道の東部です。釧路・根室地方なんかでも地面の動きが観測されている。これは、いつかわからないけれども、次の地震に向けて着実に歪みが蓄えられているということ。時計の針が進めている状態にあると思います」

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