沖縄県宜野湾市の沖縄国際大に、隣接する米軍普天間飛行場のヘリコプターが墜落した事故から20年となった13日、事故を継承する大学主催の「平和の尊さを語りつぐ集い」が開かれた。安里肇学長は沖縄では事故後も米軍が絡む事件や事故が繰り返されていることから「何も変わらない現状と今後の展望が見通せない未来に大きな危機感を覚える」との声明を出し、普天間飛行場の即時閉鎖を求めた。
集会は、事故で焼け焦げたアカギの木が残るキャンパス内の広場であり、学生や大学職員らが集まった。安里学長は声明で、2023年に普天間飛行場であった米軍機による深夜と早朝の離着陸回数が22年より34%増加したことや、今年6月以降に在沖縄米兵による性暴力事件が相次いで発覚したことに言及。「大学や地域社会の平穏を脅かす基地の存続を認めることは絶対にできません」と語気を強めた。
参加した経済学部3年の儀保(ぎぼ)裕一朗さん(22)は「昨今では、東アジア情勢を理由に沖縄の過重な基地負担を正当化する論調も目立つ」と懸念を示し「基地が必要だというのなら、基地問題に向き合い、公平な負担をしてほしい」と望んだ。経済学部4年の謝花美生(じゃはなみお)さん(22)も「沖縄で起こった戦争の傷痕や基地の現状を知ってほしい」と訴えた。
7月に急逝した松川正則・前宜野湾市長の職務代理者となる和田敬悟副市長は13日付で「事故は市民・県民に大きな衝撃を与えるとともに、普天間飛行場の危険性を改めて浮かびあがらせた」とするコメントを出した。
事故は04年8月13日午後2時15分ごろに発生。普天間飛行場を訓練で飛び立った米海兵隊の大型輸送ヘリが大学本館に激突し、乗員の米兵3人が負傷した。学生や住民らの被害はなかったが、周辺に部品が飛散して民家や車両が損壊。市街地の中心部にある普天間飛行場の危険性を浮き彫りにした。沖縄県警は現場検証と機体の差し押さえを求めたが、現場周辺を事実上封鎖した米軍は日米地位協定締結時に日米両政府が取り交わした「合意議事録」の規定を盾に拒否。事故は地位協定の不平等性もあらわにした。【比嘉洋】
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