10日(土)から始まった“お盆休み”ですが、心配なのが巨大地震。私たちはお盆休みをどう過ごせばいいのか。不安を募らせる各地の様子を、取材しました。(8月10日OA「サタデーステーション」)
■帰省ラッシュピークに「巨大地震注意」
報告・内海陽太郎 記者(東京駅 10日午前8時頃)
「下りのピークということで、みなさんたくさんの荷物を持って新幹線に乗り込んで行きます」
お盆の帰省ラッシュがピークを迎えました。
山口へ帰省する親子
「ママの実家に帰る。フグいっぱい食べれらる」
JR東海は、東海道新幹線「のぞみ」をお盆期間に初めて全て指定席にして運転。下りがピークとなる午前はほぼ満席だったといいます。高速道路では、10日午前、東名高速・海老名サービスエリア付近で19キロなど渋滞が発生しました。下りのピークは12日までとみられています。空の便は、全日空によると、国内線ではコロナ禍以降で1日あたり最多となるおよそ16万3000人が予約しているといいます。
■最大震度6弱…帰省客混乱
こうした中、8日宮崎県日南市で最大震度6弱、マグニチュード7.1の地震が発生。宮崎・鹿児島で13人のけが人が報告されています。この地震を受けて「南海トラフ地震臨時情報巨大地震注意」が発表されました。これは、南海トラフ沿いの震源域で新たな大地震が発生する恐れが相対的に高まったとされるもので、初めて発表されました。さらに9日は神奈川県で、震度5弱の揺れも観測。政府は、旅行や帰省を含め日常の生活を続けながら地震への備えを呼び掛けています。備えを意識した“異例のお盆休み”となりました。
福岡に帰省する親子(羽田空港 10日午前)
「子供も小さいのでミルクを多めに持ったりいつもより多めに持っておこうかなって」
宮崎・日向市に帰省する親子(羽田空港 10日午前)
「海とか遊びたかったけど、それは避けようかなと思って。どこに逃げるかどうやって逃げるかは、おじいちゃんと確認して」
最大震度5強を観測した宮崎市。
報告・仁科健吾アナウンサー(宮崎駅前 10日午後1時頃)
「宮崎駅前です。お盆休みに入りましたが、人通りはまばらで少ないですね」
市内では、けが人のほか建物の一部が崩れるなどの被害でました。
報告・仁科健吾アナウンサー(青島海水浴場 10日午後3時半頃)
「青島海水浴場は地震の影響で、遊泳禁止となっています」
この海水浴場は、地震に翻弄されていました。8日の地震を受け、翌日9日は遊泳禁止に。10日から再開予定でしたが、その後、神奈川県の地震など受け、一転、遊泳禁止とする判断を下しました。海の近くのフードトラックには、避難経路の地図が配布されました。
フードトラック店員
「(売り上げは)1割いってるかな、というくらいです。普通のイベントより少ない。仕方ないのかな」
“異例のお盆休み”。人々の防災意識が高まっていました。市内のホームセンターでは続々と地震対策用品が品出しされていきます。お盆の関連商品を置く予定だったスペースは、急遽防災コーナーに変更したといいます。
■地震対策に追われる住民
サタデーステーションが訪ねたのは宮崎市内にある一軒家。
市川英夫さん(59)
「お父さんよくない?これで仏壇倒れにくいと思うよ」
8日の地震を受けて急遽、家具が倒れないよう固定する作業に追われていました。築50年ほどの自宅に一人暮らししている98歳の横井敏朗さん。お盆で義理の息子・市川さんが帰省しているときに地震にあいました。
市川英夫さん(59)
「98歳、高齢で1人暮らしだから、もし例えば、どこかで食事している、(仏壇で)拝んでいる時とか、なんか倒れてきたら危ないから、慌てて買いに行ったもんね」
■夏の風物詩「阿波踊り」開催の裏側
宮崎県だけではありません。今回の震源地にも比較的近く、南海トラフの想定震源域にも含まれる徳島県鳴門市。影響も懸念されましたが…当初の予定通り、徳島の夏の風物詩・阿波踊りは11日まで開催されます。開催前、運営側が確認していたのは避難誘導の手順について。
運営スタッフ
「実際に地震が発生した時には、大きな揺れが収まるまではその場待機おさまり次第アナウンスさせて頂きますので…」
配置されるスタッフには津波が起きた際の避難マップを配付。マップには、会場近くの中学校などの避難先が書かれていて、来場した希望者にも渡すことにしています。
阿波踊りを見に来た親子
「(鳴門市は)海が近いので心配は心配。楽しむところは楽しんできちんと備えるとこは備える。(地震対策)備えてある、すぐぱっと出ていけるように」
さらに、呼びかけのアナウンスも。
運営スタッフ
「有事の際には落ち着いてスタッフからの指示に従って、ご協力頂けますようよろしくお願いいたします」
鳴門市役所観光振興課 戸島慶祝副課長
「今までより地震の備えはしっかりしなくてはいけないので、地震津波情報をスタッフ一同で情報共有していく。(対策の)ハードルは高まりましたが、市民が楽しめるイベントにしようと一丸となってできた」
■広い警戒エリア 伊豆の花火大会も備え
極めて広い範囲が“警戒エリア”となっている、南海トラフ地震。その範囲内にある静岡県・伊東市を、私たちは訪ねました。
10日、伊東海岸で開催されたのは、例年およそ20万人が訪れる花火大会。前日の神奈川県で観測した最大震度5弱の地震により、9日伊東市で予定していたイベントは中止に。
伊東に帰省した親子
「花火見ないで帰ります、津波も怖いかなと思って。祭りの雰囲気だけでも味わって帰るようにする」
花火が行われるのは海沿いの会場のため、地震が発生した際の大きな懸念が“津波”です。
報告・小山颯ディレクター
「伊東市では、南海トラフ地震が起きると、信号機を超えるほどの高さの津波が想定されています」
県の想定によると、南海トラフ巨大地震が起きた場合、伊東市では最大10メートルの津波が押し寄せるとしています。
もし花火大会の開催中に巨大な地震が起きたら、20万人が避難しなければいけません。そのため会場の本部には、地震を受けてハザードマップを初めて準備。ほかにも、避難ルートや避難所の確認を徹底したといいます。ハザードマップは設置後すぐに、取りに訪れる来場者の姿もありました。そして、午後8時。およそ1万発の花火が、夜空を彩りました。地震対策をとりながらのお盆休みが、各地で続きます。
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