県原爆被災者の会が発行した広島・長崎被爆者の詞画集から展示予定の原爆の絵を示す牛山和子さん(左)と村田多恵子さん=横浜市磯子区で2024年8月6日、遠藤和行撮影

 横浜市磯子区の団地「磯子レインボーハイツ」(27棟、381戸)で11、12の両日、被爆者が体験や目撃した惨状を描いた「原爆の絵展」が初めて開かれる。住民有志5人が7月に組織した「被爆者の描いた絵をみる会」の主催。世界で紛争が絶えず、核兵器の使用も取り沙汰される状況に危機感を感じて企画した。会のメンバーは「被爆者の『再び核兵器が使われてはならない』という願いを伝えたい」と話している。

 中心となって企画するのは、地域の「子ども食堂」運営仲間の主婦、牛山和子さん(70)と英語塾講師、村田多恵子さん(75)。

 原爆の絵は、県内在住の被爆者らでつくる「県原爆被災者の会」から借りた24枚で、絵は状態を保護するため複製を展示する。その中で、当時13歳で広島にいた女性の絵は、やけどと傷を負って亡くなった兄の様子を表現。また、当時18歳で長崎にいた女性は、妹と思われる骨を前に、父らと悲しむ状況を描いた。

 牛山さんは熊本市出身で、管理栄養士として十数年前に医療機関に勤務していた際、患者だった被爆者に食事指導したことがあった。その患者から「今もメロンパンが食べられない。爆心地で見た顔がパンパンに腫れた人を連想するから」と聞き、被爆体験を引きずる人がいると感じてきた。

 村田さんは長崎県出身で、父方の祖母や叔母、叔父が原爆で亡くなった。父は戦地にいて中国大陸で終戦を迎えたという。戦後生まれの村田さんは高校まで諫早市で過ごし、古里に知人は多い。その知人が被爆から時間がたっても、自分だけでなく子や孫に被爆の影響が出ないか不安になると聞いてきた。

 牛山さんは、県原爆被災者の会について、2023年に村田さんと話したところ、会員の中に村田さんの知人がいることが分かった。村田さんが同会に連絡をとり、併せて同会所有の原爆の絵の一部を借りることに。今月15日の終戦記念日を前に、団地の人たちに見てもらいたいと、絵画展を企画した。2人は「夏休みの子どもと家族連れで見に来て、平和の尊さを確認してほしい」と話している。

 会場は磯子レインボーハイツ管理棟2階の集会室。開場は午前10時~午後4時。入場無料。問い合わせは10日まで管理事務所(045・761・7039)。【遠藤和行】

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