障害を理由に不妊手術(優生手術)を強いた旧優生保護法は憲法違反だとした最高裁判決を受けて政府が被害者の救済や補償について検討を進める中、愛知県内の原告を支援する会と県担当課が8日、特定されていない被害者をどのように掘り起こすかについて協議した。支援する会側は、知事が謝罪することで被害者が名乗り出やすい状況を作ってほしいなどと要望した。
県の資料によると県内では255人に強制手術が行われ、氏名が分かっているのは60人だけだ。
県側は「優生手術は国の法律に基づいたもので、県の独自判断で行ったのではない。今後の国の指針に基づいて県の対応を考えたい」と、政府の検討を待つ姿勢を示した。
これに対し、支援する会側は「旧法を推進したのは地方自治体。国の通知を待たず、県がどこまで関わったのかを主体的に検証しないといけない」と指摘した。さらに被害者の掘り起こしについて「今から進めてほしい」と述べ、医療機関や施設での資料調査や元職員らへの聞き取り調査などの実施を求めた。
県担当課は「プライバシーに関わる非常にセンシティブな情報。被害者が傷つかないよう慎重に取り扱う必要があり、上司と相談したい」と回答を避ける一方、「どういうやり方ができるか提案してくれれば、検討したい」と述べた。
強制手術を巡っては、手術されたことを本人が知らないケースのほか、親族が手術に関わったケースが多いことが被害者掘り起こしを難しくしている。支援する会側は「知事が謝罪することで、これは親族の責任ではなく、社会や国、県の責任だということを示してほしい。被害者の閉ざした心を開けるために謝罪して」と望んだ。
県内では強制手術のほかに、「本人や配偶者が同意した」として440人に不妊手術が行われたことが資料から判明している。支援する会は「本人の自由な意思ではない場合がほとんどと推測される」と指摘している。【荒川基従】
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