8日午後4時43分ごろ、日向灘を震源とする地震が発生しました。震源は宮崎県沖約20キロ、震源の深さは約31キロで、規模はマグニチュード7.1と推定されています。
最大震度6弱が観測された宮崎県日南市。
田中勝さん
「“ガン”と一発、ガタガタと左右に揺れるというよりは、下からパンチをされたような、強い一撃がドンときた感じ。ほとんど構える暇もなく“ガンッ”と横に一瞬。本当に一瞬で早かったです」
市内の飲食店の店員
「みんなを誘導して外に出て。商店街の建物自体も危ないので、商店街から外に出て、揺れが収まるのを待ちました」
日南市を走る山沿いの国道では、人の背丈よりも大きな石が転がっていました。
日南市には、津波注意報が出たため、建物の屋上などに多くの人が避難しました。
高台に避難した住民
「かなり揺れました。結構、物が落ちてましたね。けがはなかったです。厨房から勝手口に近いところにいたので」
高台に避難した住民
「天井の裏の土が落ちてきて。屋根裏の土かな。古い家なので」
日南市では、この地震の影響で、80代の女性の頭に物が落ちてきて救急搬送されたほか、20代の女性が右肩を脱臼して、病院に運ばれたということです。
日南市から北に20キロ、宮崎市では震度5強が観測されました。
地震発生15分後の宮崎空港。
空港内にいる人は2階、3階で待機。津波への警戒から、すぐに2階より上への避難誘導が行われたようです。
同じころに別の人が撮影した空港内の映像を見ると、搭乗手続きカウンターに水がしたたり落ちています。撮影者によりますと、空港内で水漏れが起きたそうです。フロアは水浸しになっていました。
全日空と日本航空で、合わせて宮崎空港を発着する9便が欠航したということです。それ以外の空港でも、大きな混乱は報告されていません。
津波は複数の地点で観測されましたが、最も大きかったのは宮崎港の50センチです。
ただ、被害は決して少なくありません。
震度4が観測された鹿児島県志布志市では、がけ崩れが発生。震度5強が観測された大崎町では、2階建ての住宅が倒壊する被害も起きています。
四国の各地でも揺れを観測しました。
最も大きかった愛媛県伊方町は震度4。
四国電力によりますと、伊方原発3号機は、現在、定期検査のため運転を停止していますが、地震による揺れは感知されず、いまのところ影響はないということです。
高知県にも、一時、津波注意報が出されました。
海の目の前で作業をしていた養殖業者は、こう話します。
養殖業者
「じゃっかん海は引いていました。波が動いていました。10〜15センチ、潮が引くみたいな感じです。ひと揺れすると“南海トラフ”は頭に出てきます。それぐらい植え付けられた。グラグラと揺れると、逃げる体勢に入る」
午後5時42分に室戸岬で10センチ、午後5時46分に土佐清水で30センチの津波を観測しました。
海沿いでカフェを営む人は、防災バッグを手に外へ出たといいます。
土佐清水市のカフェ経営者
「犬を外に連れて海を見たけど、まもなく20〜30センチくらいの筋立ったうねりが来ていた。筋立って入ってくることは、ほぼないので、多分、津波のうねりだった」
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■南海トラフ「巨大地震注意」今回の地震の震源となったのは、宮崎県沖の日向灘。この一帯で懸念されるのが、最悪の場合、32万人の死者が出ると想定される南海トラフ巨大地震です。
地震発生から間もなく、気象庁は『南海トラフ地震臨時情報』を発表。想定震源域で、マグニチュード6.8以上の地震が発生した場合に発表されるもので、気象庁が関連の調査を始めました。初めてのことです。
この検討会で、今後、巨大地震に『警戒』が必要なのか、『注意』が必要なのか、『調査終了』とするのかが判定されます。
会議が始まってから、約2時間。
林官房長官
「今回の地震を調査した結果、今後、再び大規模地震が発生する可能性が相対的に高まっていると評価され、大規模地震への注意を促す『南海トラフ地震臨時情報巨大地震注意』が発表されました」
『巨大地震警戒』の場合、地震発生後に避難すると間に合わない地域では、1週間、事前に避難する必要が出てきます。
今回、気象庁の判定は『巨大地震注意』。日ごろの備えを再確認し、地震が発生したら、すぐに避難できる準備をするよう呼び掛けています。
南海トラフ地震評価検討会・平田直会長
「マグニチュード7.1の地震が起きたことで、普段よりも数倍、地震の発生する可能性が高くなったという評価になった。すでにマグニチュード7の地震が起きて、最大震度6を超える地震が起きて、被害が出ているという報道があるので、それよりも大きな地震が起きる可能性も普段よりも高くなったことには、十分、注意していただきたい」
注意が必要なのは、地震が起きたエリアだけなのでしょうか。
南海トラフ地震評価検討会・平田直会長
「きょう起きた地震は、想定南海トラフの震源域の南西の端。全体の非常に端だが、その近くで、また大きな地震が起きることはあると思うが、いままでの例から見ると、必ずしも、その西側だけで起きるわけではなく、想定南海トラフ地震のどこかで起きる可能性がある。マグニチュード7〜8、マグニチュード9くらいの地震が起きると言っていて、どこで起きるかわからないが、プレートの固着状態に変化がある可能性があって、現時点では、どこと言うことはできないので、注意していただきたいのは、この全体。(Q.関東や想定震源域以外でも強く揺れる可能性はあるか)もし、最大クラスの地震が起きれば、例えば、関東では震度5強とか、東日本大震災のときの揺れくらい、東京と千葉、神奈川は、それなりに揺れる。長周期地震振動や最大クラスマグニチュード9の地震が起きたときの揺れがこれなので、神奈川県西部から宮崎県まで強い揺れになることが示されている」
いまは夏休みシーズン。来週にはお盆を迎えます。どんな備えをすれば良いのでしょうか。
南海トラフ地震評価検討会・平田直会長
「基本的には『巨大地震注意』のときには、日頃からの地震への備えを再確認してくださいと申し上げている。日頃からの備えというのは、強い揺れがあったときに家具が転倒してくるとか、高い津波が来るから、すぐに逃げる必要がある。津波警報が出たときに、どこに、どういう経路で逃げるかということを再確認していただく必要がある。それがきちんとできていれば、夏休みで海水浴をしていただいても、私の個人的な考えは、特に問題はないと思います」
高知県庁には、即座に対策本部が立ち上がりました。
高知県危機管理部・江渕誠副部長
「臨時情報は、南海トラフ地震が、発生確度が高まったことで発表される。家具の転倒防止対策は十分か、非常持ち出し品の準備は十分か、食料備蓄も家庭での備蓄も確認して、最寄りの避難場所の位置も、改めて、家族で確認してほしい」
『南海トラフ地震臨時情報』の発表を受け、開設された避難所には、すでに住民の姿がありました。
家族で避難している人
「子どもが『行った方がいいよ』と。気を引き締めていかないといけないな」
日ごろから心構えをしている人も多いようです。
避難している大学生
「防災バッグですかね、銀色のバッグにレトルト食品とかヘルメットを入れて。ちゃんとやっている方かと」
家族で避難している人
「いつか来るだろうなとは思っていたんですけど。ここで命は落としたくないので。避難経路、地震が来たら扉を開けるとか、そういうところを気を付けています」
地震は、交通機関にも影響を及ぼしました。
九州新幹線と西九州新幹線で、一時、運転を見合わせました。東海道新幹線は、東京・新神戸間で、一時、運転見合わせとなり、運行に遅れが出ています。さらに、東海道新幹線は、『巨大地震注意』が解除されるまでの間、三島駅から三河安城駅の間で、速度を落として運転するということです。10分以上の遅れが見込まれています。
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