防衛省=東京都新宿区で、小川昌宏撮影

 海上自衛隊の潜水艦修理を巡り隊員が川崎重工業から裏金で接待されていた疑惑を受けて、防衛省は8日、航空機や戦車、ミサイルなど装備品の納入実績がある企業100社に対し、下請け業者との架空取引や隊員への金品・物品提供の有無について自主点検と報告を要請すると発表した。

 防衛省によると、潜水艦以外の装備品についても調査すべきだという国会議員らの指摘を踏まえた対応。100社はいずれも、市場価格が存在しない装備品の調達に用いられる「原価計算方式」で予定価格を算定し、契約している企業で、国内の主だった防衛関連企業を網羅しているという。

 点検は各社のコンプライアンス部門に依頼し、架空取引や金品・物品提供の有無のほか、不正や癒着の防止、チェック体制についても報告を求める。対象期間は、書類が保存されている可能性が高い直近7年間程度を想定している。8日から依頼を開始し、報告期限を9月20日に設定する。川崎重工業との潜水艦修理契約については、弁護士らでつくる特別調査委員会が実態解明を進めており、別途調整するという。

 装備品の契約には虚偽説明をしないよう求める特約事項もあり、防衛省の担当者は「報告の信頼性は一定担保できる」としている。

 潜水艦修理を巡る接待疑惑では、防衛相直轄の防衛監察本部が「特別防衛監察」に着手。川崎重工業と三菱重工業、ジャパンマリンユナイテッド(JMU)との契約に関し不正の有無を調べている。【松浦吉剛】

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